気密を考える 2
今日は昨日のお話の続きです。
気密をとらない施工というのは、断熱材の効果も無意味にしてしまう話。
断熱材とは、「空気の流れを止める」というところに意味があるということ。
それが気密工事をせずに断熱材だけ入れても、空気は動いてしまうわけなので、たとえば数値で表している効果も出ていないことになってしまいますね。
冬に胸元の空いたセーターを着るのと、タートルネックとの違いのようなもので、間違いなく後者のほうが暖かいのと同じだと書かれていました。
隙間から室内の暖かい空気が流れ込むのと同時に、壁の中で冷やされて壁内結露を起こすことも、よく知られている話です。
北欧や寒い国の建物は、その為に外壁面に気密シートを張り巡らせるのが当たり前になっています。(断熱材がグラスウールの場合ですが)
そんな常識があるにも関わらず、気密を悪者あつかいする風潮があるのは、いまだに古い日本家屋をイメージして設計をする頭の固い建築士の皆さんのせいかなと考えます。
自分もまた、そういう頭の固い設計士であったからこそ、あえて言いますが、日本の家づくりをきちんと考え直さないといけないと思います。
自分の固定観念にとらわれず、公平な目で見て、本当に大切なのはどういう家づくりかを未来に残す仕事をする立場から考えていただきたいと思っていますね。
気密を考える 1
今日はまた、日経アーキテクチャーの連載のお話を書きたいと思います。
前真之さんという工学博士の方の書いたコラムですが、ほんとによくぞ書いてくれたという話です。
今回は気密の話。
エコハウスだとか、長期優良住宅とか言いながら、気密のことが理解されていないというか、なおざりになっていることに、とても危機感を感じているところですが、大事なことがしっかり書かれていました。
まず、冬の話になってしまうんですが、暖房で温められた空気というのは、熱気球を飛ばすくらいの威力を持っているということ。
これを家で考えると、温められた空気はどんどん上昇気流を起こして、建物上部に上がっていくのですが、隙間だらけの家は、屋根や壁から我先にとどんどん抜けて行ってしまうというのです。
それだけならいいのですが、抜けて行った分、外の冷たい(=重い)空気が床とか低いところから容赦なく入ってくることになるといいます。
つまり、暖房すれば暖房するほど、低い位置にある居住空間が、逆に寒くなってしまうという現象が起こりえるという話です。
ファンヒーターとか、軽い高温の温風を吹き出すものは特にこうした悪影響が出やすいとのこと。
これは、わかりやすい説明だと感心しました。だからこそ、気密をとることが大事ということが言えるんですね。
これが問題の一つで、続きはまた明日書かせていただきますね。