デザインと構造を一体で考える家づくり
今日は、M’s構造設計の佐藤先生による「構造塾」マスターコースの勉強会がありました。昨年10月から毎月学びを重ね、構造区画の考え方から、強く安全で、しかも無駄を抑えた構造計画まで、実務に直結する内容を勉強しています。
■計算の前に大切な「構造計画」
構造塾で特に学んでいるのが、建物をバランスよく区切って考える「構造区画」と、「スケルトン・インフィル」という考え方です。
スケルトン・インフィルとは、柱や梁など建物を支える骨組みと、間仕切りや設備などを分けて考える設計手法です。構造の骨格を整理することで、力の流れが分かりやすくなり、将来の間取り変更にも対応しやすくなります。
構造計算は、最終的に安全性を数字で確認する大切なものですが、その前段階で、どのような骨組みにするかという「構造計画」が、とても重要だということを改めて学んでいます。
■なぜ構造計算を自社で行うのか
これまでも当社では、必要な構造検討を行いながら、安全性を確認して家づくりを進めてきました。構造計算を専門の方に依頼すること自体も、決して問題のあることではありません。
ただ、設計した建物をそのまま外注して「計算が成り立つようにまとめてもらう」という進め方では、構造塾で学んでいる構造区画やスケルトン・インフィルの考え方まで、設計者の意図どおりに反映することが難しい場合があります。
結果として、必要以上に梁が大きくなったり、基礎が複雑になったりと、安全性は確保できても、少し無駄の多い構造になる可能性もあります。
そこで今年1月に構造計算ソフトを導入し、設計の段階からデザインと構造を同時に考えられるよう、構造計算の内製化に取り組んできました。
■これまでの経験に、新しい学びを重ねて
現在、確認申請の審査を待っている次の物件では、自社で許容応力度計算を行い、耐震等級3として設計し、長期優良住宅の認定まで進めることができました。
もちろん、これまでの家づくりを否定しているわけではありません。これまで積み重ねてきた設計や施工の経験があってこそ、今回学んでいる構造の考え方も、より深く理解できているのだと思います。
そのうえで、基礎から柱・梁まで自分で確認し、デザインと構造を一体として考えられるようになったことは、設計者として一段階深く家づくりに関われるようになった感覚があります。
私の仕事は確実に増えましたが、自分で考えた構造が計算でも確認され、さらに第三者機関の審査を経て認められるのは、なんとも気持ちの良いものです。
■まとめ
時間はかかっても、構造塾で学んだことを一つひとつ実務に落とし込み、強く安全であることはもちろん、美しく、無駄の少ない構造を目指していきたいと思います。今回ご縁をつないでくださったFPホームの治部様にも、心より感謝申し上げます。
耐震性や構造のことも含めて、家づくりについて気になることがございましたら、公式LINEからお気軽にご相談ください。
室温だけでは分からない、FPの家の涼しさ
今日は、”FPの家”で作られたライフ・コアデザインオフィスの事務所で、エアコンによって室内がどのように冷やされているのか、床・壁・天井の表面温度を測ってみました。
エアコンは、26.5℃の自動運転です。
測定時の温湿度計は、室内が25.3℃・湿度43%。外気側のセンサーは**35.6℃**を表示していました。
それに対して、表面温度計で測った室内の温度は、
- 壁:24.8℃
- 床:25.9℃
- 天井:25.8℃
という結果でした。
室温だけでなく、壁・床・天井まで、ほぼ25~26℃前後に揃っています。
人が感じる温度は、室温だけでは決まりません
一般的に温度計が示しているのは、室内の「空気の温度」です。
しかし、私たちの身体は空気だけでなく、周囲の壁や床、天井との間でも、放射によって熱のやり取りをしています。
例えば、室温が26℃であっても、日射などで天井や壁が30℃を超えていれば、その熱を身体が受けるため、実際の室温以上に暑く感じます。
反対に、今回の事務所のように、床・壁・天井の温度が室温とほぼ同じであれば、周囲から余計な熱を受けにくく、穏やかな涼しさを感じることができます。
体感温度を簡単に計算すると
風の影響が小さい室内では、体感温度の目安を、次のように考えることができます。
体感温度 ≒(室温+周囲の平均表面温度)÷2
今回測った壁・床・天井の表面温度を単純に平均すると、約25.5℃です。
したがって、
(室温25.3℃+平均表面温度25.5℃)÷2
=約25.4℃
となります。
実際の体感温度は、湿度や気流、服装、活動量などにも左右されますが、今回の事務所では、空気だけでなく建物の内側全体が25℃台に整っているため、体感的にも室温表示に近い、安定した涼しさになっていると考えられます。
エアコンの冷気を、室内全体で保つ
エアコンを運転すると、最初に冷えるのは室内の空気です。
その後、運転を続けることで、壁や床、天井、家具なども徐々に冷やされていきます。夏の場合は「蓄熱」というより、冷たさを蓄える蓄冷と表現したほうが分かりやすいかもしれません。
もちろん、FPパネルそのものが大量の冷気を蓄えるということではありません。
高い断熱性と気密性によって外からの熱が入りにくいため、エアコンで一度整えた空気と、冷やされた室内側の仕上げ材や家具の温度が、急激に上がりにくくなります。
壁・床・天井まで温度が整うと、それらが室温の変化を緩やかにする役割を果たします。エアコンが能力を抑えて運転している時間帯や、ドアを開け閉めした際にも、室内が急に暑くなりにくくなるのです。
建物性能は、表面温度にも表れます
エアコンの設定温度だけを見ると、26.5℃はそれほど低い温度ではありません。
それでも快適に感じられるのは、湿度が43%に抑えられていることに加えて、壁・床・天井まで室温に近い温度になっているからです。
高気密・高断熱住宅の快適さは、温度計に表示される室温だけでは分かりません。
周囲から暑さを感じないこと。
室内のどこにいても、表面温度が大きく変わらないこと。
こうした状態を、少ないエネルギーで安定して維持できることが、FPの家の空調の特徴だと思います。
ただし、どれだけ性能の高い住宅でも、エアコンを動かさなければ室内は冷えません。エアコンを無理に切ったり入れたりするより、自動運転で穏やかに継続させ、空気だけでなく室内全体の温度を整えることが、快適さと省エネの両立につながります。
外は33℃、室内は25.6℃
今日は、予報通り気温が上がりました。
お昼に温度計を見てみると、外気温は33度を超えていました。
まだ5月とはいえ、これだけ気温が上がると、体にもこたえますね。
ただ、同じ温度計で事務所内の室温を見ると、25.6℃。
外とはかなり温度差があり、室内は落ち着いた環境を保っていました。
もちろん、エアコンの力もありますが、やはり建物そのものの断熱性や気密性がしっかりしていると、外の暑さの影響を受けにくいものです。
省エネというと、どうしても「我慢すること」のように思われがちです。
暑くても冷房を控える。
寒くても暖房を我慢する。
電気を使わないように気をつける。
そういう努力も大切ではありますが、毎日の暮らしの中で無理を続けるのは、なかなか大変です。
本当に大事なのは、無理をしなくても快適に過ごせて、結果としてエネルギーの無駄が少なくなる住まいではないかと思います。
断熱性が高く、気密性がしっかりしている家は、冷暖房の効きがよくなります。
一度整えた室温も逃げにくく、外の暑さや寒さの影響も受けにくくなります。
これは、暮らしてみるととても大きな違いです。
特にこれからの季節は、日中の暑さだけでなく、夜の寝苦しさや、家の中の温度差も気になってきます。
家づくりでは、間取りやデザインももちろん大切ですが、こうした毎日の室内環境をどう整えるかも、とても大切なポイントです。
今日のように外気温が上がった日には、あらためて建物の基本性能の大切さを感じます。
無理な我慢ではなく、自然に快適で、省エネにもつながる家。
そんな住まいを、これからもご提案していきたいと思います。






