誰に頼むかが、本当の安心につながる
今日は、前の会社に勤めていた頃からのお客様で、築25年になる「FPの家」のお宅へ、エアコンの設置工事に伺いました。
これまで使用されていたマルチエアコンのうち、2階側のエアコンが故障したことから、今回は設置場所を変更して、新しいエアコンを取り付けることになりました。
事前に200Vコンセントの増設工事を行い、今日はエアコン本体の設置です。
室外機は、お客様のご希望により下屋の上に設置しました。普段はメンテナンス性や将来の交換作業を考え、あまりおすすめしない場所ではありますが、今回は建物の条件やご要望を踏まえて対応しました。
室外機は35kgほどの重量がありますので、屋根の上へ運び上げる作業も簡単ではありません。私も運搬を手伝いながら、安全を確認して設置してもらいました。
また、エアコン工事に合わせて、吹き抜け上部にあるトップライトの不具合も確認しました。
リモコンが故障し、内側のロールブラインドが動かなくなっていたのですが、夏場の日差しを防ぐため、「修理はせず、一年を通して閉めた状態にしてほしい」とのご要望でした。
トップライトは非常に高い位置にあり、そのままでは危険な作業になります。そこで息子と二人で、吹き抜けの梁に足場板をしっかりと固定してから、手作業でブラインドを下ろし、動かないように固定しました。
こうした作業は、専門業者を探そうとしても、どこに頼めばよいのか分からないことがあります。
大掛かりな工事だけでなく、住まいの中のちょっとした不具合や、「こんなことを頼んでもよいのだろうか」というお困りごとにも対応することが、地域の工務店の役割だと考えています。
住宅には長期保証も大切ですが、保証の年数だけですべての困りごとが解決するわけではありません。実際には保証対象外となる内容もありますし、その都度、費用や対応方法を確認する必要があります。
それ以上に安心につながるのは、住まいのことを理解し、これまでの経緯も分かっている人が、困ったときに顔を見せて対応してくれることではないでしょうか。
「何をしてもらえるか」だけでなく、「誰にやってもらうか」。
長く住み続ける家だからこそ、そうした人と人との関係が、本当の安心につながるのだと思います。
エアコンの先行配管も、将来の交換まで考えて
今日は、寝室に設けたエアコンの、先行配管について工夫した例をご紹介したいと思います。
こちらの寝室は、エアコンを取り付けた壁のすぐ外側が建物の正面になるため、そのまま配管を外へ出すと、室外機や配管カバーが正面の下屋に取り付き、せっかくの外観が台無しになってしまう恐れがありました。
そこで、建築工事の段階でエアコンの配管を壁の中に通す「先行配管」を行い、室外機を建物の裏側に設置できるようにしました。
(壁の右側にあるパイプスペースにエアコンの配管を差し込んでいます)
ただし、先行配管は外観をすっきり見せられる反面、将来エアコンを交換する際に、配管の接続部分へ手が届かなくなると、工事が難しくなってしまいます。
エアコンも、いつかは交換時期を迎える設備です。そこで今回は、隣接するトイレの背面にパイプスペースを設け、寝室のエアコンから右方向へ通した配管を、この場所で接続できるようにしました。
将来エアコンを交換するときには、この部分を開けて配管を繋ぎ替えて、室内機を交換できるように考えています。
しかし、トイレの壁に一般的な点検口を設けるだけでは、どうしても見た目が事務的になってしまいます。
そこで、点検口を隠すように扉付きのトイレットペーパー収納を造作しました。普段は収納として便利に使いながら、エアコン交換や配管の点検が必要になった際には、収納ボックスごと取り外して内部へアクセスできる仕組みです。
閉じている状態では、壁の仕上げと一体になったすっきりとしたデザインに見えます。開ければトイレットペーパーなどを収納でき、その奥には将来のメンテナンスに必要な配管スペースが確保されています。
家づくりでは、完成したときの美しさや使いやすさだけでなく、10年、15年と経過した後の設備交換まで考えておくことが大切です。
ただ点検口を設けるのではなく、
「普段は便利な収納として使い、必要なときには点検口になる」
という形にすることで、メンテナンス性、利便性、デザインの三つを両立させました。
目立たない小さな工夫ですが、こうした将来を見越した納まりも、長く安心して住み続けられる家づくりの一つだと考えています。
壊れない家より、壊れたときに困らない家
家づくりでは、できるだけ丈夫で、長持ちする材料や設備を選びたいと考えるものです。
もちろん、それは大切なことです。
しかし、どれだけ良い設備を選んでも、エアコンや給湯器、水栓、換気扇などは、いつか故障したり、交換が必要になったりします。
そう考えると、本当に大切なのは「壊れないようにすること」だけではありません。
壊れたときに、点検しやすく、直しやすく、交換しやすい家にしておくことも、失敗しない家づくりの一つだと思います。
(床下に入れるオリジナルの床下点検口)
(外から床下の点検ができるので、室内を汚さない/水漏れがあっても発見しやすい)
最近も、キッチンの配管を点検しようとしたところ、配管カバーが簡単に外せないように施工されていたお宅がありました。
見た目はきれいに納まっていても、修理のためにカバーを切らなければ中を確認できない状態では、後々のメンテナンスに手間も費用もかかってしまいます。
同じように、給湯器やエアコンの室外機を交換しようとしても、周囲に十分な作業スペースがなかったり、搬出経路が狭かったりすると、本来なら簡単な交換工事が大掛かりになることもあります。
新築時には、設備が故障する日のことまで想像するのは難しいものです。
それでも、設計する側は、
・点検口から必要な場所を確認できるか
・配管や機器の前を固定家具で塞いでいないか
・設備を将来取り外せるか
・交換する機器を運び出せるか
・一つの設備が止まったとき、家全体の生活が止まらないか
というところまで考えておく必要があります。
たとえば、家全体の冷暖房を一つの特殊な設備だけに頼っていると、その設備が故障した際に、家中の空調が止まってしまう可能性があります。
当社では、一般的な家庭用エアコンを1階と2階に分けて設置する方法を基本にしています。どちらか一方に不具合が起きても、もう一方を動かしながら、扇風機やシーリングファンなどを併用して、ある程度は家全体をしのぐことができます。
普段は使わない点検口や、設備まわりの少しの余白は、完成時には無駄な空間に見えるかもしれません。
しかし、その余白が、将来の修理費用を抑え、工事時間を短くし、暮らしへの影響を小さくしてくれます。
家は、完成した日が一番きれいです。
けれど、本当にその家の良し悪しが分かるのは、10年、20年と暮らし、設備の修理や交換が必要になったときかもしれません。
「壊れない家」を目指すことは大切ですが、絶対に壊れない設備はありません。
だからこそ、失敗しない家づくりでは、
壊れたときにも、困り切らない家にしておくこと。
完成したときには見えにくい部分ですが、長く安心して住み続けるためには、とても大切な設計だと考えています。












