家具が入って完成する空間の美しさ
今日は、“GROW”の写真を見ながら、家具と空間のコーディネートについて書いてみたいと思います。家そのものの形や素材も大切ですが、そこにどんな家具が入るかで、空間の印象は大きく変わります。今回のお住まいは、その大切さを改めて感じさせてくれました。
家を設計する段階では、どんな暮らし方をされるのか、どのような家具を置きたいのかをできるだけお聞きして、間取りや寸法の計画に反映していきます。
ただ、最終的にどの家具を選ばれるかは、お施主様ご自身の楽しみでもあり、住まいの個性が表れるところでもあります。
だからこそ私は、いつも完成が近づくにつれて、どんな家具が入るのだろうと内心少し緊張しています。
空間に合った家具が入ると、住まい全体が一段と引き立って見えるからです。
お引渡しの時点では、まだ家具がそろっていないことも少なくありません。そうした場合には、当社の家具を仮に入れたり、家具屋さんにお借りしたりして撮影することもあります。
ダイニングテーブルなどを仮に製作して納めることもあるのは、家具が入ることで空間の見え方が大きく変わるからです。
何もない状態でも建物の良さはありますが、家具が入ることで暮らしの場としての輪郭が見えてきます。
完成写真において家具が大切なのは、見た目のためだけでなく、この家での暮らしを自然に想像していただけるからだと思っています。
今回の“GROW”では、お施主様が空間全体の雰囲気に合わせて事前に家具を選んでくださり、見学会までに搬入も間に合わせてくださいました。
オークのやさしい木目に、ブラックで統一したキッチンがよく映え、そこにシャープなダイニングセットと存在感のあるカウチソファーが加わって、空間がとても美しく整いました。
家具、照明、内装の色合いがきれいに調和していて、私自身もとても嬉しく感じました。
家づくりは、つくり手だけでも、お施主様だけでも完成しません。こうして一緒に積み重ねてきた思いが、最後に空間の心地よさとして表れるのだと思います。
住まいは、建物が完成して終わりではなく、家具や照明が入って、そこでの暮らしが見えてきてこそ本当の完成に近づいていきます。“GROW”は、そのことを改めて感じさせてくれるお住まいでした。
モデルルーム見学や家づくりのご相談は、どうぞ公式LINEからお気軽にご連絡ください。暮らし方やお好みに合わせた住まいづくりを、丁寧にご一緒します。
モデルルーム「DUNE」ができるまで
今日は、2024年に竣工した当社のモデルルーム “DUNE” について、少し振り返ってみたいと思います。
“DUNE”は、もともと自宅と事務所の隣に建っていた、築30年ほどの義父の家を取り壊して建てたものです。
義父も義母も、27年前にFPの家で建てた我が家が完成してから、そちらへ移り住んでくれました。
もともと私も養子に入り、義父の家に住んでおりましたので、ちょうど同じタイミングで一緒に引っ越したような形でした。
やはり、暖かく快適なFPの家で一緒に暮らしていただくのが、一番良いことだと思ったのです。
その後、義父の家は長く空き家となっていましたが、年月とともに傷みも進み、雨漏りもするようになってきました。
そこでこの場所を活かして、1階を倉庫兼作業場、2階をモデルルームにする計画を考えました。
ちょうど他の工事とも重ならない良いタイミングもあり、この機会を逃さず形にすることができました。
この建物では、なるべく費用を抑えながらも、見せるべきところは妥協しないという、当社らしい考え方を大切にしています。
コストを抑える部分については、大工工事のあとの内装仕上げを、息子と私とで行いました。
床はフローリングを貼らず、大判のビニールタイルを息子と二人で施工しました。
木部の塗装は手分けして行い、壁面と天井の塗装については、パテ処理から仕上げまで、ほぼすべて息子が担当してくれました。
塗装の色や素材選びについても、息子とかなり時間をかけて相談しました。
たくさんのサンプルを現場に並べながら、一つひとつ確認して決めていったことを、今でもよく覚えています。
内装に採用したのは、アメリカ製塗料 Benjamin Moore。
その3600色の中から選んだのが、“Baja Dune” という色でした。
この色が空間全体の印象を決定づけてくれて、モデルルームの名称 “DUNE” も、ここから名付けたものです。
1階には、念願だった倉庫兼作業場ができました。
材料の加工や家具づくりも得意な息子にとって、良い仕事場になっていると思います。
そして2階には、いつでもお客様にご覧いただけるモデルルームが完成しました。
モデルルームでは、階段に面する飾り棚のスペースや、造作家具によるデザインの統一感、そしてダウンライトを極力使わない照明計画など、細かなところまで意識してつくり込んでいます。
目を引く派手さを求めたのではなく、
ニュートラルで、静かに整った美しさを目指した空間です。
家具の配置も含めて、空間全体が自然につながって見えるように考えました。
昼間は、素材や色の重なりが素直に感じられ、落ち着いた空気感があります。
そして夜になると、照明によってまた違った表情が生まれます。
明るさを足すための照明ではなく、空間を美しく見せ、落ち着いて過ごせるように考えた灯りです。
写真でも雰囲気は伝わるかと思いますが、実際にその場に立つと、光の広がり方や陰影のやわらかさまで感じていただけると思います。
モデルルーム“DUNE”については、まだまだ外壁のことや細かな納まりなど、お話ししたいことがたくさんあります。
ですが、何よりこの空間は、実際に身を置いていただくのが一番わかりやすいと思っています。
ライフ・コア デザインオフィスが考える、
派手さではなく、心地よさと美しさが長く続く住まい。
そのひとつの形として、ぜひご体感いただけたら嬉しいです。
モデルルームのご見学は、公式LINEからお気軽にお申し込みください。
皆様のお越しをお待ちしております。
最初のモデルルーム“The Ark”を振り返って
今日は、当社で最初に建てたモデルルーム “The Ark” について振り返ってみたいと思います。
“The Ark”は、2018年に建てた元モデルルームで、現在は長男が暮らす住まいになっています。
この計画のきっかけは、義母が「大東に良い土地がある」と、長男のために土地を買ってくれたことでした。
せっかくの土地を空き地のままにしておくのはもったいない。でも、長男の将来につながる土地であるなら、先を見据えた形にしたい。そう考えて、まずはモデルルームとして活用し、その後に長男の家となる計画を立てました。
当時、長男は神戸芸術工科大学の4年生でした。
まだ十分に打ち合わせができる状況ではありませんでしたが、将来本人が住む家になる以上、やはり本人の意思が反映された建物でなければ意味がありません。そこで何度もプランを描き直しながら、ライフ・コア デザインオフィスとしての設計力も表現できる、少し挑戦的な建物を目指しました。
敷地は間口7.4m、奥行き19mほど。
正面と裏側の二方道路に面した、細長くも特徴のある土地でした。この条件を生かして、両側の道路から駐車でき、1階は土間で通り抜けられるプランを考えました。
また、限られた敷地を有効に使うため、LDKは2階に計画しました。
車庫スペースの上には広いバルコニーを設け、人工芝を敷いて、2階にいても外へ広がるような開放感をつくりました。外部からの視線を避けるための壁の高さもしっかり確保し、LDKはカーテンなしでも落ち着いて過ごせる空間になっています。
空間のコンセプトは、長男の希望でもあった 「クラシック・モダン」 でした。
室内はブラックの壁紙で統一し、スチール部分はあえて荒々しい素材感を生かした仕上げに。見えてくる構造材はシルバーグレーで塗装し、全体として独特の緊張感と美しさを持たせました。
大学を卒業して当社に入社した長男は、この建物の内装づくりにも深く関わりました。
塗装はほぼ自分の手で仕上げ、クロス工事も手伝いながら、現場で学び、覚えていったように思います。そうして完成した“The Ark”は、モダンでありながらシャンデリアやアンティーク家具も自然に似合う、独特の世界観を持った建物になりました。
この建物は約1年ほどモデルルームとして活用し、OBのお客様にご見学いただいたほか、遠方からFPの家のお仲間が見学に来てくださったこともありました。
その後、長男が結婚し、今は実際の住まいとして使われています。
キッチンや洗面台にセラミックを使った造作家具を取り入れるなど、この建物では当社にとっても新しい挑戦がいくつもありました。
“The Ark”で試みたこと、考え抜いたこと、つくり込んだことの一つひとつが、その後のライフ・コア デザインオフィスのデザインや納まりのノウハウにつながっているように思います。
今振り返っても、この建物は当社にとって大きな転機だったと感じます。
モデルルームであり、実験の場でもあり、そして今では家族の暮らしの場でもある“The Ark”。
当社の歩みを語るうえで、忘れることのできない一棟です。















