アール開口は『納まり』が命
今日は、施工事例「Nestgray」で採用した“アールの付いた開口部”をご紹介します。扉を付けないまま空間をゆるやかに区切れるのが魅力ですが、実は見た目以上に繊細な仕事。大工さんと内装屋さんの段取りが揃って、初めてきれいに成立します。
1)扉を付けない「ちょうどいい仕切り」
扉を付けるほどではないけれど、視線や気配を少しだけ切り替えたい。
そんな場所にアール開口は、とても相性がいいと感じています。
直線の壁に比べて、角がない分だけやわらかい印象になりますし、
通り抜けるときの気持ちも、どこか落ち着くんですよね。
今回の「Nestgray」でも、生活動線の中で“区切りすぎない”境界として活躍しています。
図面上の線を、暮らしの感覚に変えるのが、こうした開口の役割だと思います。
2)「納まり」は小さな誤差が目立つ場所
私たちは仕上がりの整い方を「納まり」と呼びます(見え方の収まり具合のことです)。
アールは特に、少しでも歪みがあると輪郭がすぐ目に入ってしまいます。
だからこそ、大工さんの下地づくりがとても大切で、手間も増えます。
半円のラインをきれいに出すには、材料のクセや固定の順番にも気を配ります。
仕上げ材を貼ったあとに“取り返しが効かない”部分が多いのも、難しさの一つです。
見た目はシンプルでも、実際は細かな確認の積み重ねでできています。
3)壁紙が切り替わると、難しさも増える
今回の事例は、アールの壁と直行する壁で壁紙の色が違うため、納まりがさらに繊細でした。
アールが切れる位置で壁紙をどう切り替えるかは、線の出方を左右します。
そこで、アール壁の端部をわずかに厚みを持たせて“終わり”をつくり、切替えの逃げ場を用意しました。
このひと工夫で、境目が自然に見えて、仕上がりが落ち着きます。
そして最後は、アールに沿って壁紙を貼り込む内装屋さんの技術が頼りです。
現場で教わることも多く、職人さんの経験がそのまま品質になる部分だと実感します。
アール開口は、暮らしにやさしい境界をつくる一方で、下地から仕上げまで職人の連携が要になるディテールです。福井で注文住宅や工務店のことなら(株)ライフ・コア デザインオフィスにお任せください。
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生活感を隠せるパントリー設計
施工事例「BABEL」のパントリーをご紹介します。
エントランスからLDKがオープンにつながる間取りほど、視線の先が整って見える工夫が効いてきます。収納量だけでなく、“隠せる”ことで暮らしがすっと軽くなる実例です。
【1】オープンなLDKほど「見え方」を先に決める
エントランスからLDKまで視線が抜けるプランは、開放感が魅力です。
その一方で、生活の道具が目に入りやすいのも正直なところです。
そこで「見せる場所」と「隠す場所」を最初に整理しておきます。
パントリーは使いやすさの中心ですが、見え方の中心にもなります。
扉を閉めたときに壁面の一部として馴染むよう、納まりを揃えました。
空間が整うと、照明の陰影や素材の質感もきれいに出てきます。
結果として、普段の暮らしが“片付いて見える”設計に近づきます。
【2】深さと間口、そして「作業できる」収納へ
BABELのパントリーは奥行きをしっかり取り、間口も広めに確保しました。
通路として通るだけでなく、立ち止まって作業できる余裕を残しています。
カウンターを設けると、買い物袋の仮置きや仕分けがとても楽になります。
引き出しがあると、細かな物が迷子になりにくく、定位置も作りやすいです。
収納は量だけでなく、取り出す動作が短いほど続けやすいと感じます。
こうした“使い続けられる形”は、打合せの段階で一緒に整えていきます。
暮らし方を伺いながら、無理のない運用を想像して決めるのが大切ですね。
【3】「隠せる」ことでデザインと気持ちが整う
今回は夜の撮影で、あえてパントリー内のダウンライトを消して写しました。
明かりを抑えると、LDK側の照明計画が引き立ち、奥行き感も出ます。
そして扉を閉めると、パントリーは大きな引き戸でしっかり隠せる仕様です。
来客時だけでなく、日々の“とりあえず置き”を受け止める場所にもなります。
見えない場所があると、家事の途中でも一度リセットしやすいんですよね。
設計の工夫に加えて、引き戸の建て付けや隙間の揃い方も仕上がりを左右します。
現場の丁寧さが、こうした静かな気持ちよさにつながると実感しています。
「隠す収納」は、片付けのためだけでなく空間の美しさを守る仕組みだと思います。福井で注文住宅や工務店のことなら(株)ライフ・コア デザインオフィスにお任せください。
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夜に浮かぶ、行灯のような障子
今回ご紹介するのは、タタミコーナーを囲う“デザイン障子”。斜めの線が入った障子が、昼はやわらかく光を通し、夜は行灯のように空間の主役になります。和の要素を、いまの暮らしに馴染ませる工夫も少しだけお話しします。
【“仕切る”より“やわらかく包む”】
リビングの中に、落ち着ける「小さな居場所」があると暮らしが整います。
ただ壁で囲ってしまうと、せっかくの広がりや空気感が止まってしまうことも。
そこで障子の出番です。視線はやわらかく遮りつつ、明るさはきちんと回してくれます。
タタミの静けさを守りながら、家族の気配はほどよくつながる。
この“ほどよさ”が、実は一番難しくて、一番心地いいところだと思います。
囲い方ひとつで、同じ面積でも「使える時間」が増えるのが面白いですね。
【線のデザインと、職人の精度】
今回のポイントは、縦横の格子ではなく、斜めの線を重ねた意匠です。
ランダムに見えて、全体のバランスが崩れないように線の太さや交点を整えています。
障子は「建具(たてぐ)」といって、開け閉めする部材なので、精度が暮らしやすさに直結します。
動きが渋い、紙が波打つ、すき間が出る——こうした違和感は毎日の小さなストレスになります。
木の癖を読みながら、建付け(たてつけ=動きの調子)を追い込むのは、職人さんの腕の見せどころ。
派手さよりも、触ったときに伝わる“静かな品質”を大切にしたい部分です。
【夜の表情をつくる、光の仕込み】
この障子が一番きれいに見えるのは、実は夜かもしれません。
内部の光が障子紙を通って広がり、面で光る“やさしい明るさ”になります。
直接光源が見えないので、まぶしさが少なく、リビングの雰囲気も落ち着きます。
吹抜けのある空間では、光が散って暗く感じることがありますが、こうした光の拠点があると安心です。
照明計画は「明るさ」だけでなく、「どこに影を残すか」も設計だと感じます。
家の中に、行灯のような灯りがひとつあるだけで、夜の時間が少し丁寧になりますね。
障子のやさしい光は、家族の時間を静かに支えてくれます。細部を整え、長く愛せる家づくりを続けます。福井で注文住宅や工務店のことなら(株)ライフ・コア デザインオフィスにお任せください。
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