兵庫県立美術館 3
引き続き兵庫県立美術館の写真です。ここは風のデッキと言われる場所へ昇る階段。シンメトリーな造りが印象的な場所です。
夕方に出かけたので、夕日をバックにした写真です。
同じ形状の建物が3棟並びますが、それにしても大胆な庇です。よくこれが支えられているなと思いますし、施工も慎重を期したことでしょう。
コンクリートの打ちっぱなしだけでなく、こうした石張りの美しさも見ごたえがありました。
海側から見た全体像です。右が海側で、人が歩いているところが、広いハーバーウォークになっています。
金沢の21世紀美術館のように、どこからでもアクセスできて、自由に入れること。そして、その環境に見事になじむ佇まいが、ほんとうに感心いたしますね。
平成14年に阪神・淡路大震災からの「文化の復興」のシンボルとして建てられたそうです。
ややもすると建築も、機能さえまかなえればいいという考えに陥りやすいですが、復興という大変な中でも、これは未来に向けての礎となる優れた建築だと思います。
一生ものを
今日は、お客様の解体するお宅から、不要になったタンスの搬出作業をしました。リサイクル業者さんにも見てもらったようですが、残念ながら取ってくれなかったとのことです。
家具も、必要があって買い足されていくものですし、役に立ってきたものでしょうから、まずはご苦労様というところです。
そんな、役割を終えたら処分されるものもあれば、本当に大切で使われ続ける家具もあります。いわゆる一生ものですね。
この二つは、それぞれが目的に応じて必要であると思いますが、できることなら一生ものを選びたいものですね。
一生ものになる条件としては、良い造りであることが第一でしょう。そして使い続けられるデザイン。
とても大事なことです。それには、やはり価格も当然高いのが当たり前でしょう。本当は良くて高いもののほうが、買い替えずに済む分、安い買い物になるのも明確な話です。
たとえば椅子もそうですが、下の写真は事務所の打ち合わせコーナーの「セブンチェアー」という黒い椅子。
これは、アルネ・ヤコブセンというデザイナーが1955年に発表されたデザインの椅子ですが、言ってみれば57年前のデザインです。これがいまだに現代建築の中にみごとに溶け込みます。
この椅子は1脚5万円は超えますが、たとえ場所を移っても捨てられずに使い続けられるでしょうし、もちろん売るとなっても買い手はつきますね。
その上に写っている、照明器具もルイス・ポールセンというデザイナーのPH5という照明。こちらは1958年に発表されたもので、改良は加えられていても、基本的なデザインはその当時のもの。これも、捨てられるものではありませんね。
こういう本物は、おそらく息子の代でも孫の代でも、引き継がれてもおかしくありません。物造りって、こうでないといけないと思います。
家造りもやはりそう考えています。安物の家づくりにそのポリシーというのは微塵も感じられません。一時住まい出来ればいいのであれば、それもありだと思いますが、一生の買い物にはちょっと高すぎると思うものが、はたしてどちらになるか?考えていただければおわかりいただけることだと思いますね。
スタンド照明
昨日の流れで、照明についてちょっと書きます。
住宅の照明というと、各居室の天井のど真ん中にシーリングといって丸か四角の蛍光灯が付くのが当たり前のようになっています。
けれど、これはただ空気を照らしているだけで、四方の壁は暗いまま。明るいのにどんよりした雰囲気になります。
ちょっと気取ってダウンライトを配置しても、天井にまんべんなく配置してしまって、これもメリハリのない、面白味のないものになってしまいます。
照明は必要な部分を照らしてくれることと、人の目線の見るところに、うまく明かりを設けてあげると落ち着くものです。
こちら、薪の音のロビーの照明ですが、シャンデリアはほぼ飾りですね。チェストの上などにある、低い位置の照明がアイキャッチになっています。
そして、コーナーの椅子のところにスタンドが置かれていますね。これが本を読むときなどの必要な部分に置く照明です。
こういうスタイルが、実は落ち着いたいい雰囲気の夜を演出してくれます。
なかなか住宅では、スタンドが嫌われがちですが、使ってみられると、人の情緒を安定させるような、ほんとに良いものだと思いますよ。
プランの段階で、配置計画も決まっていれば、スタンドのコンセントにスイッチをかませて、部屋の出入り口とかで入り切りできるようにすることも出来ます。
もちろん、部屋の模様替えをしても、ソファーと一緒に移動できるのが、スタンドのいいところでしょうね。また、お試しになってみられてはと思います。
陰翳礼讃
先日、息子の付き合いでヴィレッジバンガードに行きましたら、谷崎潤一郎さんの「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」があって、喜んで買ってきました。以前本屋で探してもなかったので・・・。
まだ途中なのですが、伝わってくるのは日本家屋のなんともいえない味わい深さについてですね。
古い日本家屋は、軒が深く昼間でも薄暗い。夜は夜で、燭台のぼんやりした明かりだけという、なんとも現代とはかけ離れた生活をしていたようですが、それでも作者はそこに日本の美意識をとらえていらっしゃいます。
高度成長期に入って発達したと思われる蛍光灯の明かりの暮らしは、生活を便利にしたかもしれませんが、なにか情緒的なものを置き忘れてきたようにも感じますね。
家はもう少し暗くして過ごしても良いですね。必要なところに必要な明かりがあれば・・・。
昨日ご紹介した家も、ポーチの軒先を長くすることで、ほんとに味わい深い軒下が生まれました。ポーチの下から外を見た感じがすごくいいんですね。
屋根の低い軒先の長い縁側がある家も、とても素敵です。予算と敷地の条件によりますが、小さくてもそんな場所を作ってあげられると喜ばれるんじゃないかなと考えます。
「使われ続ける魅力」
今日は、性能の話ばかり続いたので、ちょっと違う視点からの話です。
岩前教授のセミナーからのお話で、一番ほっとした話なんですが、住宅でもなんでもそうですが、「使われ続ける魅力」がないといけないという話が合って、とてもここに共感しました。
スマートハウスでガチガチに設備投資した家も、パッシブハウスで思いっきり断熱性能を上げた家にしても、デザイン性の無い面白味のない家に、はたして住んでみたいと思うかどうか・・・。
長期優良住宅もそうですね。一昔前の家かと思うようなかっこ悪い家ばかり。しかも間取りも平凡なものばかり。
あくまで人が住むのですから、機械やデータに自分を合わせる必要などないですね。もっと人間的に見て、魅力のある建物を造ることのほうが大事です。
ホッとする空間であって、それが住む人の安全と健康を守ってくれるものであることが、家造りをすすめる、私どもの使命であると思います。
当社がデザインを大切にしているのも、まさに「使われ続ける魅力」のある建物を目指している処であります。
蓄暖カウンター
こちらはダイニング横のカウンター収納です。蓄暖とエアコンが組み込まれていますね。
間接照明を入れて、壁面を明るく演出しています。
こちらは、蓄暖の前を扉で目隠しした状態です。オフシーズンの間は、こうしておくとスッキリしますね。
扉の木目がずっと連続しているところは、造作家具だからこそこだわれる部分です。建材ものではこうはいきませんものね。
ロフトからピアノ
今日は午後から2件打ち合わせがありまして、午前中は書類や図面など・・・なかなか暮れになってもあわただしさが続いております。そろそろ年賀状の準備とかもしないといけませんね。
上の写真は、また見下ろしの写真ですね。ピアノをロフト階段の途中から写したものです。
こちら、正面のブラケット照明は廊下の全体照明の一部で、実際にはピアノの手元に別のスポットライトも当たるようにしております。
吹抜と暖房
昨日から福井も少し雪が積りました。勝山のほうはどうかと行ってみましたが、福井とあまり変わりませんでしたね。しばらくはまた雨に変わりそうです。
今日はメンテナンスや打ち合わせで、OBのお客様宅を数件回らせていただきました。どのお宅もFPの家なので、暖かく安心します。やはりこういうとき、性能のしっかりした家を造っていることで、こちらも安心出来ますね。
上はロフトから2階の洋間を見下ろした写真です。
五つある窓は、実は外部で使用する木製サッシを使っています。なぜかというと、1階リビングとの音の遮音をご要望されたからなんですね。サッシだけでなく壁、天井も防音仕様で造っています。
しかし、こうやって窓を開けておくと、下からの暖気も取り込めるので、空調の効率からいうと、できるだけ開けておくことをお勧めしています。
通常の家ですと、閉じないと暖かくならないといいますが、FPの家は逆ですね。開けておいたほうが暖かい。これが性能のある家の証なんですね。
吹抜・見下ろし
吹抜けのある建物は、天井の高い開放感を味わえて好きなのですが、こうやって見下ろした時の見え方も好きですね。なんとなく非日常的に見えるからでしょうか。
高い塔やビルに上ってみたくなるのも、普段味わえない感覚になってみたいという思いからかもしれません。
住宅にすべて吹抜けが必要とまではいいませんが、どのお宅にも、必ず見せ場を作りたいといつも考えていますね。どこか緊張感のある場所もあって、またほっこりと安心できる場所もあっておもしろいのだと思います。
また、低い天井高で落ち着く場所もありますしね。天井が高ければいいって問題ではありません。
要はその緩急が、場所によってうまくプラン出来ていることが大切です。小さな部屋で無駄に天井が高いのも落ち着かない場合もありますから。
ただ単に、天井が高いことを自慢して作っている建物ほど、外観まで間延びして不格好になる場合が多いようです。ここはやはりトータルな寸法のバランス感覚がないと、ダメなんでしょうね・・・。