割り付けで決まる、格子の美しさ
越前市の現場で、寝室のベッドヘッド部分に格子の腰壁をつくっています。一本ずつ等間隔で並ぶ格子は、見た目以上に段取りと精度が必要です。今日は、大工さんの細かな手仕事と、その考え方をご紹介します。
1)“格子”は、下地づくりで決まります
写真は、腰壁の制作途中の様子です。
先に天板を納め、下地にはシナ合板を貼って面を整えます。
そのうえで、細い格子材(雑巾摺材=造作でよく使う細い見切り材)を等間隔に取り付けます。
この「等間隔」が、言うほど簡単ではありません。
一本でもわずかにズレると、全体が波打って見えてしまいます。
だからこそ、治具(位置をそろえる道具)や基準線を丁寧に取り、手を進めていきます。
現場で見ていると、静かな作業の中に集中力が伝わってきます。
2)コンセント位置も“デザインの一部”として揃える
途中にコンセントやスイッチが入るため、先に施工図を描いて割り出します。
格子の割り付け(並び方)と干渉しない位置に納めるためです。
さらに下地のシナ合板も、途中でどうしても継ぎ目が出ます。
その継ぎ目が、目透かし(すき間を見せるライン)の部分に来ないように貼り始めを決めています。
「見えなくなる下地」ほど、最初の決め方で仕上がりが変わります。
こういうところを当たり前にそろえてくれる職人さんがいるのは、本当に心強いです。
私たちも図面の精度を上げて、現場が迷わないように心がけています。
3)“後から触る場所”を残す、気配りの納まり
腰壁にはテープライトを仕込み、ACアダプターを納める箇所も用意しています。
その部分はメクラプレート(ふた板)で隠しますが、後から開口できるように格子の留め方も工夫しています。
設備は、将来交換が必要になる可能性がゼロではありません。
だから最初から「触れる余地」を残しておくことが、長く安心して暮らすコツだと思います。
今回は巾木(床際の見切り板)を付けず、格子を浮かせる納まりにしています。
床際が軽く見えて、寝室がすっきり整うはずです。
完成した空間で、光がどう回るのか。今からとても楽しみです。
家づくりは、図面だけでは完成しません。現場で一本一本をそろえる手仕事が、空間の心地よさを支えてくれます。福井で注文住宅や工務店のことなら(株)ライフ・コア デザインオフィスにお任せください。
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玄関に大きなRニッチをつくる
今日は越前市の現場から、玄関ホール正面に設ける「R(アール)形状のニッチ」をご紹介します。曲線は見た目以上に難しい部分ですが、型板づくりから加工・塗装まで段取り良く進め、きれいに納めていきます。
玄関の“顔”になるRニッチ
玄関ホールに入った瞬間、正面に見える場所は住まいの第一印象を決めます。
今回はそこに、大きなR形状のニッチ(壁のくぼみ収納)を計画しました。
直線の棚と違い、曲線は光の当たり方で陰影がやわらかく出るのが魅力です。
一方で、少しの歪みや段差が意外と目立つのも曲線の特徴です。
だからこそ、納まりまで見据えて最初の加工精度が大切になります。
使い勝手と見た目の両方を満たす、玄関の“顔”づくりだと思っています。
型板づくりが仕上がりを左右する
今回のアール加工は、工務の息子が担当しました。
曲線をきれいに出すには、まず「型板」をしっかり作ることが近道です。
型板があると、トリマー(回転刃で木を削る工具)を安定して走らせられます。
事前に薄い合板も貼って、滑りが一定になるよう工夫してあります。
“失敗しないための準備”に手間をかけると、加工そのものが落ち着いて進みます。
こういう地味な段取りが、最後の見た目にそのまま表れてきますね。
社内でできることは社内で、丁寧にバトンを渡す
こうした加工品を外注すると、どうしても加工費がかさみやすくなります。
もちろん無理はせず、難易度や納期を見て外部の力を借りることもあります。
ただ、私たちの手でできる範囲は社内で丁寧に進めることで、負担を抑えつつ狙ったデザインに近づけられます。
今回は、アール加工と角の面取り(角を丸く整えること)まで行い、塗装も仕上げてから現場へ。
そこから大工さんが取り付けを行い、きれいに納まるよう最後の調整をしてくれます。
一つの部材を、次の職人へ気持ちよく渡せる状態にしておくことも、品質の一部だと感じています。
手間を惜しまないのは、住まいがこの先ずっと暮らしを支える“舞台”だからです。福井で注文住宅や工務店のことなら(株)ライフ・コア デザインオフィスにお任せください。
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コーナー窓を包む、シャープな庇(ひさし)をオリジナルで
今日は、越前市の現場で製作した**オリジナル庇(ひさし)**をご紹介します。
外壁工事の途中段階ですが、先に“見どころ”ができあがってきたので、ぜひ見ていただきたいと思います。
今回の庇は、黒で統一したシャープなデザイン。
窓まわりをぐるっと包み込むように納めることで、外観の印象がキュッと引き締まり、建物全体がより端正に見えるようになります。
特にこだわったのが、仕上げに採用したSGLガルバリウム鋼板です。
表情がとてもきれいで、折り返しや小口(端部)の見え方も上品。金属板の“薄さ”と“線の強さ”が、そのままデザインになります。
そして今回、この仕上がりに欠かせないのが、板金屋さんの高い技術です。
この庇は、ただ板を貼るのではなく、折りの角度・通り(ライン)・継ぎ目の見え方まで揃えて、はじめて「シャープさ」が出ます。
現場で微調整しながら、コーナーの取り合いも破綻なくまとめ、薄く見せつつ剛性も確保する――このバランスは、経験と精度がないと成立しません。
まさに“職人技”が形になったディテールだと思います。
もちろん見た目だけでなく、庇としての役割も大切です。
雨の日に窓ガラスへ雨が当たりにくくなり、雨だれ汚れの軽減にもつながりますし、日射が強い季節には直射をやわらげる効果も期待できます。
施工図も何度も検討を重ね、現場では、大工さんの下地から、板金屋さんの細かい手仕事によって、丁寧に作り込みました。
こういった細部の積み重ねが、完成時の“気持ちよさ”につながると感じています。
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