メンテナンスできるように施工しておくこと
昨日は、室内で汚水のような臭いがするというご相談を受け、お客様宅へ伺ってきました。
こちらは、私が以前勤めていた会社で建てられた「FPの家」です。私が直接担当したお客様ではありませんが、これまでも時々、リフォームやメンテナンスのお手伝いをさせていただいています。
今回は、キッチン付近から臭いがすることと、キッチン水栓から水漏れがあるというご相談でした。
お客様も臭いの発生場所はキッチンの辺りだと分かっておられましたので、まずはシンク下の配管を確認しました。しかし、通常であれば持ち上げて外せるはずの配管カバーが、床固定用のツバ付き金物によって動かせない状態になっていました。
これでは、配管の状態を確認することもできません。
仕方がないため、お客様にご説明したうえで配管カバーの一部をカットし、中を確認することにしました。
すると、予想していたとおり、排水管と床下の配管との接続部分にある「防臭キャップ」が外れていました。排水管の周囲に隙間ができると、そこから下水管内の臭いが室内へ上がってきてしまいます。
防臭キャップを正しい位置に差し込み直し、さらにお客様がお持ちだった、エアコン配管の穴塞ぎなどに使う粘土状の材料で周囲を補強しました。これで臭いの問題は、すぐに解決しました。
気密テープで完全に塞ぐ方法もありますが、排水管は将来、点検や交換が必要になる可能性があります。そのため、臭いや空気が漏れないことはもちろん、必要なときには外せる納まりにしておくことも大切です。
キッチン水栓の水漏れについては、接続部分のパッキンを交換し、締め直して対応しました。
今回の不具合自体は、配管カバーが簡単に外せる状態であれば、お客様ご自身でも確認できたかもしれない内容です。問題は、不具合が起きたこと以上に、点検や修理がしにくい施工になっていたことだと思います。
家は、完成したときが終わりではありません。
長く暮らしていく間には、設備の不具合や部品交換、機器そのものの入れ替えも必ず出てきます。だからこそ、施工するときには、ただ納まればいいのではなく、将来のことも考えておかなければなりません。
「後からどうするか、どうできるか」を考えて仕事をすること。
今回のメンテナンスを通して、あらためて大切にしたいと思いました。
地盤調査で、工事に向けてまた一歩前進
今日は午前中、これから工事を始めるお客様の土地で、地盤調査の立ち合いを行ってきました。
今回行ったのは、表面波(レイリー波)探査法という調査です。
地面に振動を与える機械と、その振動を受け取る測定器を設置し、振動数を変えながら地中を伝わる波の速さを測定します。一般に、締まった固い地盤ほど波が速く伝わる性質があるため、その速度を解析することで、地盤が建物の荷重を支えられる力、つまり「支持力」を調べることができます。
地盤は、表面だけを見ても、その下がどのような状態になっているかは分かりません。今回も建物を配置する範囲の5か所で調査を行い、地表付近から深い部分まで、支持力がどのように変化しているかを確認してもらいました。調査結果には、地点ごとの数値や地中の深さによる変化がグラフで示されています。
地盤調査というと、「地盤改良が必要になったら、工事費が増えてしまうのでは」と心配される方も多いと思います。
夕方には速報が届き、今回の敷地については、建物を支えるために想定していた地耐力が得られるため、地盤改良は不要との判定でした。
もちろん、改良が不要だから何も確認しなくてよいということではありません。建物の形や重量、基礎の設計などを合わせて判断したうえで、適切な基礎をつくっていくことが大切です。
家が完成すると、地盤も基礎もほとんど見えなくなってしまいます。しかし、建物を長く安全に支えるためには、工事を始める前のこうした確認が欠かせません。
調査結果を受けて、これで工事の段取りもまた一つ前に進みました。
お客様にも安心していただけるように、これから基礎工事、そして建て方へと、一つひとつ確実に準備を進めていきたいと思います。
高性能住宅ほど、夏のエアコンを止めないほうがよい理由
北陸の梅雨明けは21日ごろとの予報が出ていますが、今週も暑い日が続いています。
これだけ気温が高くなると、エアコンを使わずに過ごすことは難しいですね。そこで今日は、「性能・断熱・気密」という視点から、夏のエアコンの使い方について、あらためてお話ししたいと思います。
近年の住宅は、高気密・高断熱化が進み、全体的に性能が向上しています。
ただし、どれほど優れた性能を持つ住宅でも、エアコンなどの空調設備を動かし、冷房や暖房の熱を加えなければ、その性能を十分に生かすことはできません。
断熱性能とは、自然に家の中を涼しくしてくれるものではなく、エアコンでつくった快適な温度を、できるだけ逃がさずに保つための性能です。
電気代が気になり、エアコンをこまめに切ったり入れたりする方もいらっしゃると思います。
一般的な住宅では、留守中にエアコンを切るのが当たり前かもしれません。しかし、高気密・高断熱住宅では、自動運転を利用しながら、連続して運転させるほうが、室温を安定させやすくなります。
日中にエアコンを止めてしまうと、その間に室内の空気だけでなく、床や壁、天井、家具などにも熱が蓄えられていきます。
夕方に帰宅してからエアコンをつけても、まずは暑くなった室内全体を冷やさなければならないため、エアコンは大きな能力で運転することになります。
一方、連続運転をしていれば、エアコンは室温のわずかな上昇を補う程度の、比較的静かな運転を続けることができます。
もちろん、外気温や日射、建物の性能、エアコンの機種、留守にする時間などによって条件は変わりますが、高性能住宅では、室温を大きく上下させない運転のほうが、快適性と省エネルギー性の両面で有利になりやすいと考えています。
設定温度については、必要以上に低くしないことも大切です。
冷房運転には除湿の効果もありますので、室温だけでなく湿度が下がることで、同じ温度でも涼しく快適に感じられます。温度計やエアコンの設定温度だけを見るのではなく、室内の湿度や体感も確認しながら調整していただくとよいでしょう。
さらに「FPの家」では、壁や床に組み込まれた断熱パネルによって、屋外の熱が室内側へ伝わりにくくなっています。
そのため、室内側の壁や床の表面温度も安定しやすく、周囲から感じる放射熱の影響を抑えることができます。
人が感じる暑さや寒さは、空気の温度だけで決まるものではありません。壁や床、天井など、周囲の表面温度も体感に大きく関係します。
エアコンで空気だけを冷やしても、壁や天井が熱いままでは、なかなか涼しく感じられません。反対に、断熱性能が高く、室内の表面温度が安定している家では、設定温度を極端に下げなくても快適に過ごしやすくなります。
せっかく性能の良い家を建てたのであれば、エアコンを我慢して使わないのではなく、住宅の性能を生かすように、上手に運転していただきたいと思います。
高気密・高断熱住宅の本当の価値は、エアコンでつくった快適な環境を、少ない負担で安定して保てることにあります。
暑い夏だからこそ、住宅性能と空調設備を一体として考え、快適で健康的な室内環境をつくっていただければと思います。






