「まだまだ終わりじゃない」
最近読んだ、建築家の安藤忠雄さんの本で、とても共感を呼んだ言葉がありました。
「工事が始まっても、設計はまだまだ終わりじゃない」
設計料もない、ギリギリの予算での工事を試みた「光の教会」での話だそうです。
私も工事が始まっても、常に内容を見直しながらより良い設計を起していきますので、
正直儲かる話とは逆を行きますが、それをしないと気がすまないたちなものですから・・・。
世の中、まずお金にならなければ仕事をしないという考え方があります。
経営的にみれば、当然なのかもしれませんが、私はすごく反発を感じます。
大手のハウスメーカーなど、図面が出来て仕様も決めたら、今後設計変更をしないという約束のハンコを求められると聞きます。
それでいて、変更をお願いすると多大な追加を取られるとか。
お客様だって、全てが想像できるわけではないでしょう。途中で考えが変る場合もあります。
それら人間的なことを、事務的に処理しようとしています。
たしかに変更は多大な労力を使いますし、割に合わないことと理解できます。
無いほうが段取りもスムーズに運ぶのも当然です。
でもそこに甘んじていていいのでしょうか?
建物を任されたからには、最後までできることをあきらめてはいけないと思うのです。
精一杯、労力を惜しみなく使うことで、その建物に魂が吹き込まれるものと思います。
あの多忙な安藤さんでも、小さなお金にもならない仕事にも全力でぶつかっていることがわかります。
いま、多くのボランティアの方々も、日夜お金にならない事に奔走しておられます。
でも、そういうところからこそ、美しいものが生まれると信じていますね。