失敗しない家づくり-第4回|収納は多ければいいわけではない
家づくりのご相談の中で、「収納をたくさんほしい」というご要望はよくあります。
今の住まいで物が片付かない。
部屋に物が出てしまう。
季節物や日用品の置き場所に困っている。
そういうお悩みがあると、新しい家では収納をできるだけ多く取りたいと思われるのは、とても自然なことだと思います。
ただ、最近あらためて思うのは、収納は多ければいいというものではないということです。
もちろん、必要な収納は大切です。
玄関まわり、洗面まわり、キッチンまわり、寝室や子ども部屋など、それぞれに必要な収納はあります。
でも、収納を多く作れば家が片付くかというと、必ずしもそうではありません。
むしろ収納がたくさんあることで、安心して物を増やしてしまうこともあります。
「まだ入るから置いておこう」
「いつか使うかもしれないから取っておこう」
「収納があるから、とりあえずしまっておこう」
そうしているうちに、収納の中がいっぱいになり、奥に何が入っているのか分からなくなってしまうことがあります。
本来、収納は暮らしを整えるためのものですが、使い方によっては、物を増やすための場所になってしまうこともあります。
これは私自身も、日々感じるところです。
事務所や住まいの中でも、いつか使うかもしれないと思って残してあるものがあります。
でも、その「いつか」は、なかなか来ないものです。
大切なのは、ただ収納を増やすことではなく、今の暮らしに本当に必要なものを見極めることではないかと思います。
物が多すぎると、片付ける場所も必要になります。
探す時間も増えます。
管理する手間も増えます。
掃除もしにくくなります。
反対に、必要なものが分かりやすい場所にあり、使ったら戻せる仕組みがあると、暮らしはずいぶん楽になります。
収納計画で大切なのは、量よりも考え方です。
どれだけ収納を作るかではなく、
何を持つのか。
どこで使うのか。
本当に必要なものなのか。
使いやすい場所に戻せるか。
そういうことを考えていくことが大切だと思います。
たとえば、玄関には靴や傘、長靴、コート、外で使うもの。
洗面まわりにはタオルや洗剤。
キッチンまわりには食品や日用品のストック。
リビングには書類や小物、掃除道具など。
使う場所の近くに、必要な分だけ収納があると、片付けはしやすくなります。
逆に、どこかに大きな収納を作って何でも入れてしまうと、一時的には片付いたように見えても、あとから中身が分からなくなってしまうことがあります。
収納は、物を隠す場所ではなく、暮らしを整える場所であってほしいと思います。
家づくりでは、つい「収納を多く」と考えがちですが、限られた面積の中で収納を増やせば、その分だけ暮らす空間が小さくなることもあります。
リビングのゆとり。
玄関の広さ。
洗面や物干しスペースの使いやすさ。
家族が過ごす場所の心地よさ。
そうした空間とのバランスも大切です。
収納をたくさん作ることが目的ではなく、物に振り回されず、気持ちよく暮らせることが目的です。
そのためには、新しい家を考えるタイミングで、今持っているものを一度見直してみるのも良いと思います。
本当に使っているもの。
大切にしたいもの。
これからの暮らしに必要なもの。
それを整理したうえで収納を考えると、無駄に広い収納ではなく、暮らしに合った使いやすい収納になります。
収納は、多ければいいわけではありません。
必要なものを、必要な場所に、必要な分だけ。
そして、物を増やしすぎない暮らし方も一緒に考えること。
それが、片付けやすく、気持ちよく暮らせる家につながるのではないかと思います。




