大雨被害から考える、床下まで見据えた家づくり
今朝、石川・富山にレベル5の大雨特別警報が出たニュースを見て、大変心配しました。能登へ応援工事に行っている大工さんにも連絡を取り、無事を確認してひと安心。福井でも強い雨が降り、改めて住宅と浸水被害について考えさせられる一日となりました。
■水が引いてから始まる大変さ
8月13日の千葉豪雨でも、多数の住宅が床上・床下浸水の被害を受けています。
水害は、水が引けば終わりではありません。床下に入り込んだ泥や汚水を取り除き、洗浄し、十分に乾燥させるという大変な作業が待っています。
私自身、過去の福井豪雨の際に床下の泥水を掃除した経験がありますので、後始末の大変さはよく分かります。家づくりでは、こうした「被災した後」のことまで考えておく必要があると思っています。
■基礎断熱は、浸水後の復旧まで考える
先日のブログでも書きましたが、基礎断熱の住宅について私が気になるのは、床下に水が入った後の排水と乾燥です。
基礎断熱は、基礎の内側までを室内に近い環境として使う考え方です。そのため浸水した場合には、点検口からポンプで排水し、泥を取り除き、送風機や除湿機などを使って十分に乾燥させる必要が出てきます。
床下空調や換気設備を設けている場合には、汚水の臭いや設備への影響も考えなくてはいけません。基礎断熱そのものを否定するということではなく、採用するのであれば、こうした災害時の復旧方法まで知ったうえで選ぶことが大切だと思います。
■外から床下に入れるようにしておく
当社のFPの家は床断熱ですので、床下と室内を分けて考えています。床下浸水の場合にも、その影響をできるだけ室内側へ持ち込みにくい構成です。
さらに写真のお宅では、基礎の外側から直接床下へ入れる点検口を設けています。2009年に竣工したお宅ですが、万一床下に水や泥が入った場合にも、室内の点検口を開けず、外から床下へ入り、確認や清掃ができるように考えたものです。
床上まで浸水した場合にはもちろん大掛かりな復旧が必要になりますが、FPパネルについても状態を確認し、十分に乾燥させることで再利用できる可能性があります。こうした納まりも、建てた後に起こり得ることを想像しながら考えてきたものです。
■まとめ
家は、何事もない普段の暮らしが快適であることはもちろんですが、災害が起きた時にどうなるか、そしてその後どう復旧できるかも大切です。これからも住む人の暮らしを長い目で考え、一つひとつの納まりを決めていきたいと思います。
新築やリフォームで、断熱方法や災害への備えについて気になることがございましたら、公式LINEからお気軽にご相談ください。
敷地の高さをどう決めるか、現地測量が大切です
今日は、来年に建築を予定している敷地の現地調査に行ってきました。こちらは足羽川の堤防に隣接する土地で、建築にあたっては河川との距離や高低差を確認し、必要な手続きを進めていく必要があります。そのための大切な測量です。
■河川との位置関係を確認するために
こちらの敷地は河川保全区域内にあるため、建築に先立って許可申請を進める必要があります。
その際に大切になるのが、河川から建物までの距離と、それぞれの高さ関係です。
その状況がきちんと分かる断面図を作るため、今日は現地で測量を行いました。
公図だけでは分からないこともありますので、やはり現地で実際の高さを確認することが大切です。
■道路との高さをどう合わせるか
もうひとつ、この敷地で慎重に考えなければならないのが、建物の基準となる高さです。
道路にも高低差がありますので、設計GL(建物の高さを決める基準)をどこに設定するかによって、車の入りやすさや玄関までの段差も変わってきます。
なるべく道路との段差は少なくしたいところですが、単純に低くすればよいというものでもありません。
高すぎても低すぎても別の問題が出てきますので、敷地全体を見ながら判断していきます。
■使いやすさとコスト、その両方を見る
地盤を上げれば、その分だけ土を入れる工事も必要になりますし、隣地境界との高さの処理も考えなくてはいけません。
逆に建物を高くしすぎると、今度は玄関ポーチの段差が大きくなるなど、毎日の使い勝手にも影響します。
車の出入り、玄関までの動き、周囲との納まり、そして工事費。
どれか一つだけではなく、全体のバランスを見ながら、一番納得できる高さを見つけていくことが大切だと思っています。
こういうところこそ、これまでの経験を生かしながら慎重に決めていきたいところです。
家づくりというと間取りやデザインに目が向きますが、その前に敷地をどう読み取るかも、とても大切な設計の仕事です。完成してからでは見えなくなる部分だからこそ、最初の段階でしっかり考え、お客様にとって無理のない計画につなげていきたいと思います。
土地の購入前や、敷地の高さ・造成について気になることがありましたら、公式LINEからお気軽にご相談ください。
浸水被害から考える、基礎断熱を採用しない理由
今日は、当社が原則として基礎断熱を採用していない理由について書いてみたいと思います。
「基礎断熱をしない」といっても、玄関や浴室など、納まり上どうしても基礎断熱にしなければならない部分はあります。
ただ私自身は、できることなら、その範囲もなるべく少なくしたいと考えています。
その大きな理由のひとつが、豪雨による浸水被害への備えです。
2004年7月に起きた福井豪雨の際のことです。私は以前勤めていた会社で、その当時から建てていたのは「FPの家」でした。
そのときのお客様のお宅でも、床下浸水が3件、床上浸水が1件あり、社員が手分けをして復旧作業にあたりました。
私も床下点検口から床下に入り、当時あった床下換気口を外して、外からホースで水を流しながら泥を洗い、水を吸える掃除機で吸い取る作業をしました。
かなり大変な作業だったことを今でも覚えています。
それでも、床下浸水のお宅では、FPの家が床部分で断熱・気密を取る床断熱の構造だったため、床下の復旧作業をしている間も、お客様には基本的に普段どおり生活していただくことができました。
床上まで浸水したお宅については、床材や石膏ボードの張り替えが必要になりましたが、FPの硬質ウレタン断熱パネルはそのまま使用することができました。
一方で、周囲のお宅を見ると、外壁まで剥がして、濡れたグラスウール断熱材を撤去しているところもあり、その後始末はさらに大変そうでした。
この経験から、FPのウレタンパネルが水の影響を受けにくいこと、そして床下と室内を断熱・気密ラインで分けていることのメリットを、改めて実感したものです。
ただ、その床下の掃除をしながら、もうひとつ感じたことがありました。
当時の床下点検口は室内の床から入るものだったため、泥だらけになった状態で出入りするには、室内を汚さないように養生をしたり、かなり気を使わなければなりませんでした。
そこで独立してから、当社の家づくりに取り入れたのが、写真のような外部から床下へ直接入ることのできる基礎点検口です。
万が一、床下に水や泥が入った場合にも、外部から直接作業ができます。
もちろん災害時だけではありません。
床下の給排水管などを点検したり、将来配管を交換したりするときにも、室内から出入りする必要がありませんし、ある程度長い配管材でも、そのまま床下へ持ち込むことができます。
住宅は建てたときだけでなく、何十年先までメンテナンスしやすいことが大切だと考えているからです。
最近では、基礎断熱を採用する住宅も多くなりました。
基礎の中に換気設備を設置したり、多くの配管を通したり、さらには床下エアコンによって床下空間そのものを空調に利用する方法もあります。
もちろん、それぞれにメリットがあって採用されている工法だと思います。
ただ私は、万が一床下まで浸水した場合のことも考えてしまいます。
床下に設置された機械設備は水に浸かれば故障する可能性がありますし、泥水が入れば、その後の清掃や臭いへの対応も必要になります。
床下を室内環境の一部として利用しているほど、その影響は室内側にも及びやすくなります。
家は、一度建てたら終わりではありません。
大雨や浸水といった予期せぬことが起きたときにどう復旧できるか。
設備が古くなったときにどう交換できるか。
そして、何十年先まで無理なくメンテナンスしながら住み続けられるか。
過去の災害復旧を実際に経験したからこそ、私はそうしたところまで考えて家をつくりたいと思っています。
新しい工法や設備を取り入れることだけでなく、「もしものときに直せる家であること」も、長く安心して暮らせる住まいの大切な性能のひとつだと考えています。






