壊れない家より、壊れたときに困らない家
家づくりでは、できるだけ丈夫で、長持ちする材料や設備を選びたいと考えるものです。
もちろん、それは大切なことです。
しかし、どれだけ良い設備を選んでも、エアコンや給湯器、水栓、換気扇などは、いつか故障したり、交換が必要になったりします。
そう考えると、本当に大切なのは「壊れないようにすること」だけではありません。
壊れたときに、点検しやすく、直しやすく、交換しやすい家にしておくことも、失敗しない家づくりの一つだと思います。
(床下に入れるオリジナルの床下点検口)
(外から床下の点検ができるので、室内を汚さない/水漏れがあっても発見しやすい)
最近も、キッチンの配管を点検しようとしたところ、配管カバーが簡単に外せないように施工されていたお宅がありました。
見た目はきれいに納まっていても、修理のためにカバーを切らなければ中を確認できない状態では、後々のメンテナンスに手間も費用もかかってしまいます。
同じように、給湯器やエアコンの室外機を交換しようとしても、周囲に十分な作業スペースがなかったり、搬出経路が狭かったりすると、本来なら簡単な交換工事が大掛かりになることもあります。
新築時には、設備が故障する日のことまで想像するのは難しいものです。
それでも、設計する側は、
・点検口から必要な場所を確認できるか
・配管や機器の前を固定家具で塞いでいないか
・設備を将来取り外せるか
・交換する機器を運び出せるか
・一つの設備が止まったとき、家全体の生活が止まらないか
というところまで考えておく必要があります。
たとえば、家全体の冷暖房を一つの特殊な設備だけに頼っていると、その設備が故障した際に、家中の空調が止まってしまう可能性があります。
当社では、一般的な家庭用エアコンを1階と2階に分けて設置する方法を基本にしています。どちらか一方に不具合が起きても、もう一方を動かしながら、扇風機やシーリングファンなどを併用して、ある程度は家全体をしのぐことができます。
普段は使わない点検口や、設備まわりの少しの余白は、完成時には無駄な空間に見えるかもしれません。
しかし、その余白が、将来の修理費用を抑え、工事時間を短くし、暮らしへの影響を小さくしてくれます。
家は、完成した日が一番きれいです。
けれど、本当にその家の良し悪しが分かるのは、10年、20年と暮らし、設備の修理や交換が必要になったときかもしれません。
「壊れない家」を目指すことは大切ですが、絶対に壊れない設備はありません。
だからこそ、失敗しない家づくりでは、
壊れたときにも、困り切らない家にしておくこと。
完成したときには見えにくい部分ですが、長く安心して住み続けるためには、とても大切な設計だと考えています。



