室温だけでは分からない、FPの家の涼しさ
今日は、”FPの家”で作られたライフ・コアデザインオフィスの事務所で、エアコンによって室内がどのように冷やされているのか、床・壁・天井の表面温度を測ってみました。
エアコンは、26.5℃の自動運転です。
測定時の温湿度計は、室内が25.3℃・湿度43%。外気側のセンサーは**35.6℃**を表示していました。
それに対して、表面温度計で測った室内の温度は、
- 壁:24.8℃
- 床:25.9℃
- 天井:25.8℃
という結果でした。
室温だけでなく、壁・床・天井まで、ほぼ25~26℃前後に揃っています。
人が感じる温度は、室温だけでは決まりません
一般的に温度計が示しているのは、室内の「空気の温度」です。
しかし、私たちの身体は空気だけでなく、周囲の壁や床、天井との間でも、放射によって熱のやり取りをしています。
例えば、室温が26℃であっても、日射などで天井や壁が30℃を超えていれば、その熱を身体が受けるため、実際の室温以上に暑く感じます。
反対に、今回の事務所のように、床・壁・天井の温度が室温とほぼ同じであれば、周囲から余計な熱を受けにくく、穏やかな涼しさを感じることができます。
体感温度を簡単に計算すると
風の影響が小さい室内では、体感温度の目安を、次のように考えることができます。
体感温度 ≒(室温+周囲の平均表面温度)÷2
今回測った壁・床・天井の表面温度を単純に平均すると、約25.5℃です。
したがって、
(室温25.3℃+平均表面温度25.5℃)÷2
=約25.4℃
となります。
実際の体感温度は、湿度や気流、服装、活動量などにも左右されますが、今回の事務所では、空気だけでなく建物の内側全体が25℃台に整っているため、体感的にも室温表示に近い、安定した涼しさになっていると考えられます。
エアコンの冷気を、室内全体で保つ
エアコンを運転すると、最初に冷えるのは室内の空気です。
その後、運転を続けることで、壁や床、天井、家具なども徐々に冷やされていきます。夏の場合は「蓄熱」というより、冷たさを蓄える蓄冷と表現したほうが分かりやすいかもしれません。
もちろん、FPパネルそのものが大量の冷気を蓄えるということではありません。
高い断熱性と気密性によって外からの熱が入りにくいため、エアコンで一度整えた空気と、冷やされた室内側の仕上げ材や家具の温度が、急激に上がりにくくなります。
壁・床・天井まで温度が整うと、それらが室温の変化を緩やかにする役割を果たします。エアコンが能力を抑えて運転している時間帯や、ドアを開け閉めした際にも、室内が急に暑くなりにくくなるのです。
建物性能は、表面温度にも表れます
エアコンの設定温度だけを見ると、26.5℃はそれほど低い温度ではありません。
それでも快適に感じられるのは、湿度が43%に抑えられていることに加えて、壁・床・天井まで室温に近い温度になっているからです。
高気密・高断熱住宅の快適さは、温度計に表示される室温だけでは分かりません。
周囲から暑さを感じないこと。
室内のどこにいても、表面温度が大きく変わらないこと。
こうした状態を、少ないエネルギーで安定して維持できることが、FPの家の空調の特徴だと思います。
ただし、どれだけ性能の高い住宅でも、エアコンを動かさなければ室内は冷えません。エアコンを無理に切ったり入れたりするより、自動運転で穏やかに継続させ、空気だけでなく室内全体の温度を整えることが、快適さと省エネの両立につながります。
誰に頼むかが、本当の安心につながる
今日は、前の会社に勤めていた頃からのお客様で、築25年になる「FPの家」のお宅へ、エアコンの設置工事に伺いました。
これまで使用されていたマルチエアコンのうち、2階側のエアコンが故障したことから、今回は設置場所を変更して、新しいエアコンを取り付けることになりました。
事前に200Vコンセントの増設工事を行い、今日はエアコン本体の設置です。
室外機は、お客様のご希望により下屋の上に設置しました。普段はメンテナンス性や将来の交換作業を考え、あまりおすすめしない場所ではありますが、今回は建物の条件やご要望を踏まえて対応しました。
室外機は35kgほどの重量がありますので、屋根の上へ運び上げる作業も簡単ではありません。私も運搬を手伝いながら、安全を確認して設置してもらいました。
また、エアコン工事に合わせて、吹き抜け上部にあるトップライトの不具合も確認しました。
リモコンが故障し、内側のロールブラインドが動かなくなっていたのですが、夏場の日差しを防ぐため、「修理はせず、一年を通して閉めた状態にしてほしい」とのご要望でした。
トップライトは非常に高い位置にあり、そのままでは危険な作業になります。そこで息子と二人で、吹き抜けの梁に足場板をしっかりと固定してから、手作業でブラインドを下ろし、動かないように固定しました。
こうした作業は、専門業者を探そうとしても、どこに頼めばよいのか分からないことがあります。
大掛かりな工事だけでなく、住まいの中のちょっとした不具合や、「こんなことを頼んでもよいのだろうか」というお困りごとにも対応することが、地域の工務店の役割だと考えています。
住宅には長期保証も大切ですが、保証の年数だけですべての困りごとが解決するわけではありません。実際には保証対象外となる内容もありますし、その都度、費用や対応方法を確認する必要があります。
それ以上に安心につながるのは、住まいのことを理解し、これまでの経緯も分かっている人が、困ったときに顔を見せて対応してくれることではないでしょうか。
「何をしてもらえるか」だけでなく、「誰にやってもらうか」。
長く住み続ける家だからこそ、そうした人と人との関係が、本当の安心につながるのだと思います。
エアコンの先行配管も、将来の交換まで考えて
今日は、寝室に設けたエアコンの、先行配管について工夫した例をご紹介したいと思います。
こちらの寝室は、エアコンを取り付けた壁のすぐ外側が建物の正面になるため、そのまま配管を外へ出すと、室外機や配管カバーが正面の下屋に取り付き、せっかくの外観が台無しになってしまう恐れがありました。
そこで、建築工事の段階でエアコンの配管を壁の中に通す「先行配管」を行い、室外機を建物の裏側に設置できるようにしました。
(壁の右側にあるパイプスペースにエアコンの配管を差し込んでいます)
ただし、先行配管は外観をすっきり見せられる反面、将来エアコンを交換する際に、配管の接続部分へ手が届かなくなると、工事が難しくなってしまいます。
エアコンも、いつかは交換時期を迎える設備です。そこで今回は、隣接するトイレの背面にパイプスペースを設け、寝室のエアコンから右方向へ通した配管を、この場所で接続できるようにしました。
将来エアコンを交換するときには、この部分を開けて配管を繋ぎ替えて、室内機を交換できるように考えています。
しかし、トイレの壁に一般的な点検口を設けるだけでは、どうしても見た目が事務的になってしまいます。
そこで、点検口を隠すように扉付きのトイレットペーパー収納を造作しました。普段は収納として便利に使いながら、エアコン交換や配管の点検が必要になった際には、収納ボックスごと取り外して内部へアクセスできる仕組みです。
閉じている状態では、壁の仕上げと一体になったすっきりとしたデザインに見えます。開ければトイレットペーパーなどを収納でき、その奥には将来のメンテナンスに必要な配管スペースが確保されています。
家づくりでは、完成したときの美しさや使いやすさだけでなく、10年、15年と経過した後の設備交換まで考えておくことが大切です。
ただ点検口を設けるのではなく、
「普段は便利な収納として使い、必要なときには点検口になる」
という形にすることで、メンテナンス性、利便性、デザインの三つを両立させました。
目立たない小さな工夫ですが、こうした将来を見越した納まりも、長く安心して住み続けられる家づくりの一つだと考えています。













