照明計画で大切なのは『何を照らすか』
今日は、家の照明計画について書いてみたいと思います。
昔から住宅で一番多い照明といえば、部屋の真ん中に丸いシーリングライトを一つ付けて、部屋全体を明るくするという方法ではないでしょうか。
確かに明るさは十分にあります。
でも、明るいはずなのに、なぜか部屋が暗く感じることがあります。
その理由の一つは、照明が部屋の中央の「空間」ばかりを照らしていて、壁まで十分に光が届いていないことです。
人は空気を見て生活しているわけではありません。
壁や家具、床など、目に映るものを見ながら生活していますから、その壁面が暗いと、照度そのものは足りていても、なんとなく暗い部屋に感じてしまいます。
そこで、住宅にもダウンライトが多く使われるようになりました。
今度は天井全体にダウンライトを分散して配置して、部屋中をまんべんなく明るくするような照明計画です。
もちろん、それによって壁にも光が届けばよいのですが、中途半端な位置にダウンライトを配置すると、結局は空間を照らしているだけになってしまいます。
さらに、小さなダウンライトをバラバラに配置すると、一つひとつの光も弱く感じてしまいます。
そのため当社では、必要な場所にしっかり明るさを取りたい場合、ダウンライトを2灯から4灯程度、比較的狭い範囲にまとめて配置することをご提案しています。
(4.5帖のタタミコーナーは、中央に光がしっかり届くように)
そうすると「光のかたまり」ができて、必要な場所にメリハリのある明るさをつくることができます。
住宅の内装写真を見るときも、私はついつい照明計画を見てしまいます。
特に気になるのが、ダウンライトの配置です。
天井にバラバラと配置されているものを見ると、どうしても残念に感じてしまいます。
また、きれいに整列していたとしても、単純に平面的に均等配置しただけで、部屋全体を同じ明るさにすることだけを目的としていると、やはり空間にメリハリが生まれません。
照明計画で大切なのは、
「どこに照明を付けるか」ではなく、「何を照らすか」
ということだと思っています。
例えば、壁を照らして、その反射光で部屋全体に柔らかな明るさをつくる。
壁に掛けた時計や絵画を照らして、そこに視線を集める。
ダイニングであれば、テーブル面をきちんと照らす。
こうして考えると、照明にはそれぞれ役割があることが分かります。
ダイニングテーブルの上には、ガラスグローブのペンダント照明もおしゃれですが、機能面から私がお勧めしたいのは、光が全方向に拡散するものよりも、真下にしっかり光を落とすタイプです。
スチールなどのシェードが付いた照明で、テーブル面に光を集中させると、料理もきれいに見えますし、周囲との明暗差ができて、落ち着いた雰囲気になります。
ダウンライトを使うのであれば、必要な場所にまとめて配置する。
壁にはブラケット照明や間接照明を使う。
(ブラケット照明が、単調になる壁面のアクセントに)
それぞれに役割を持たせてあげると、空間はずいぶん豊かになります。
そして、もう一つぜひお勧めしたいのが、スタンド照明です。
床や家具の上など、低い位置に灯りを置くだけで、夜の部屋の雰囲気は大きく変わります。
(間接照明とスタンド照明)
夜まで昼間と同じような明るさで過ごす必要はありません。
むしろ夜は、少し暗いくらいの空間を楽しみながら、徐々に光を落として過ごす。
そうすることで、一日の終わりを感じながら、ゆっくりと眠りに向かう準備もできるのではないかと思います。
寝る直前まで、コンビニエンスストアのように煌々と明るい部屋で過ごす必要はありませんよね。
すでにお住まいのお宅では、ダウンライトの位置を変えたり、壁の中の配線をやり直したりするのは簡単ではありません。
でも、スタンド照明を一つ加えることなら、今日からでもできます。
最近ではスマート電球も手軽に使えるようになり、壁にスイッチが無くても、「アレクサ」などを使って声で点灯・消灯することもできます。
調光や色温度を変えられるものなら、夜になるにつれて少しずつ明るさを落としていく使い方もできますね。
日本の住宅は、いつの間にか「明るければ明るいほど良い」という考え方になってしまったようにも思います。
けれど昔の日本人は、行燈のような低い位置の柔らかな灯りの中で、陰影を楽しみながら暮らしていました。
家づくりの照明計画も、単に必要な照度を確保するだけではなく、
「何を照らしたいのか」
「夜をどのように過ごしたいのか」
そこまで考えて計画すると、住まいの居心地はずいぶん変わってくると思います。
明るすぎる住まいから少し離れて、夜の暗さや、灯りの美しさを楽しむ暮らしも、考えてみていただけたらと思います。





