住まいの心地よさは、広さだけでは決まらない
家づくりのお話をしていると、「リビングは20畳くらい欲しい」とか、「できるだけ広々とした空間にしたい」というご希望をよく伺います。
もちろん、広さは住まいを考えるうえで大切な要素です。
ただ、長年住宅の設計に携わってきて思うのは、住まいの心地よさは、必ずしも面積の大きさだけで決まるものではないということです。
■広く感じる空間には、理由がある
同じ広さの部屋でも、実際に入ってみると、広々と感じる部屋もあれば、少し窮屈に感じる部屋もあります。
その違いを生むのは、窓の位置や天井の高さ、視線がどこまで抜けるかといった、設計上の工夫だったりします。
こちらのお宅では、大きな窓の向こうに庭の緑が広がり、遠くの景色まで見渡すことができます。
さらに吹抜けを設けることで、上にも視線が広がり、高い位置の窓から光も差し込んできます。
こうした空間は、単に床面積を広くするのとは違った、開放感を感じさせてくれるものです。
私は、こうした目に見えにくい工夫こそ、設計の面白さだと思っています。
■小さな場所にも、心地よい居場所を
一方で、家の中には、広くなくても心地よく過ごせる場所があります。
こちらは、階段下のスペースを利用して設けた、小さな書斎コーナーです。
階段下というのは、収納に利用することも多い場所ですが、このように机と椅子を置けば、ちょっとした仕事や読書をする場所にもなります。
周囲が少し囲まれていることで、かえって落ち着けるということもありますね。
家の中に、こうした自分だけの居場所があるというのも、暮らしの楽しみの一つではないでしょうか。
必ずしも部屋を一つ増やさなくても、空間の使い方次第で、暮らしにゆとりを生み出せるのだと思います。
■広さだけでなく、過ごす時間を考える
こちらは、吹抜けのあるダイニングの写真です。
上部までつながる空間の広がりもありますが、私が大切にしたいのは、この場所でどのような時間を過ごしていただけるかということです。
食卓を照らすペンダントライトや、壁をやさしく照らす明かりによって、夜にはまた違った落ち着きのある空間になります。
家族で食事をしたり、食後にゆっくりお茶を飲んだり、そんな何気ない日常の時間が心地よいものであってほしいと思います。
間取りを考えるときには、どうしても何畳あるかという数字に目が向きますが、その場所でどんなふうに過ごすのかを想像することも、とても大切だと感じています。
■まとめ
家づくりでは、何坪あるか、何畳あるかという数字も、もちろん大切です。
でも、その数字だけでは表せない心地よさが、住まいにはあると思います。
これからも、一つひとつの暮らしを想像しながら、広さだけでは測れない豊かさを大切に、設計を続けていきたいと思います。
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