枝葉末節にとらわれない、本質的な家づくり。
月曜日は「失敗しない家づくり」をテーマに書かせていただいています。
今日は、「枝葉末節にとらわれない、本質的な家づくり。」というお話です。
私はもともと設計士として仕事を始めましたので、家を考えるときには、まずその敷地に合った配置や、建物のプロポーションから考える癖があります。
土地には、ただ広さがあるだけではありません。
方角があり、道路との関係があり、隣の建物や窓の位置があります。電柱や障害物がある場合もありますし、逆に、緑が見える場所や、視線が抜ける気持ちの良い方向がある場合もあります。
そういった一つひとつの条件を読み取りながら、できるだけプラスに変えていくことが、家づくりの大切な土台になると考えています。
その中で、お施主様から本当にお聞きしたいことは、細かな仕様や納まりというよりも、まずは「どんな暮らしをしたいか」ということです。
休日はどこでくつろぎたいのか。
家族との時間をどのように楽しみたいのか。
外の景色や光を、どんなふうに感じたいのか。
そういった暮らしのイメージをお聞きすることで、設計の方向性が見えてきます。
もちろん、LDKの広さや収納量、動線なども大切です。ただ、最初から「LDKは何帖で、ここにこれを置いて、ここはこうして」と細かく決めすぎてしまうと、かえって新しい可能性が狭まってしまうことがあります。
設計というのは、条件を整理しながら、その土地と暮らしに合う答えを見つけていく作業です。
ですので、最初の段階では、細かな形を決めすぎるよりも、「こういう暮らしがしたい」という方向性をお伝えいただき、あとはある程度お任せいただくほうが、結果としてのびやかで良いプランにつながることがあります。
今はSNSやYouTubeなどで、たくさんの家づくりの情報を見ることができます。とても参考になる反面、情報が多すぎることで、知らず知らずのうちに「これも入れたい」「あれも必要かもしれない」と、要望が増えすぎてしまうこともあります。
家づくりを失敗したくない。
できるだけ良い家にしたい。
そう思われるのは当然のことです。
ただ、すべてを詰め込みすぎた家は、どこか窮屈に感じられることもあります。便利さや正解を追い求めすぎることで、家としての余白や心地よさが失われてしまうこともあるのです。
私自身は、家づくりには少し「余白」があってもいいと思っています。
それは、何かが足りない家という意味ではありません。
むしろ、すべての場所を同じように充実させるのではなく、力を入れるところと、あえて控えるところを分けることで、家全体にメリハリが生まれるということです。
たとえば、家族が長く過ごすリビングや、外の景色を楽しむ窓まわり、毎日の暮らしを支える動線にはしっかりと考えを込める。
一方で、必要以上に飾りすぎない場所や、シンプルにまとめる場所があってもいいと思います。
そうすることで、本当に大切にしたい部分がより際立ち、暮らしの中で心地よく感じられる家になります。
家は、最初からすべてを完成させきるものではなく、住まい手の暮らしによって少しずつ馴染んでいくものでもあります。
季節の飾りを置いたり、家具の配置を変えたり、庭木の成長を楽しんだり。そうした余白があることで、住みながら家に表情が生まれていくのだと思います。
設計を依頼されるときには、ぜひ「細かな答え」よりも、「どんな暮らしをしたいか」を大切にしていただけたらと思います。
そして、ある程度は設計者に任せてみる。
出てきたプランを見ながら、そこから一緒にブラッシュアップしていくことで、無理のない、素直で、心地よい家にまとまっていくのではないかと思います。
家づくりで大切なのは、流行の要素をたくさん集めることではなく、そのご家族にとって本当に必要な暮らしの形を見つけることです。
枝葉末節にとらわれず、本質を見ながら考えることが、失敗しない家づくりにつながるのではないかと思います。






