失敗しない家づくり|窓の高さを揃えるということ
家づくりで間取りを考える時、多くの方はまず平面図を見ながら考えます。
リビングの広さ。
収納の位置。
水まわりの動線。
部屋の数や配置。
もちろん、これらはとても大切なことです。
ただ、平面図だけを見て家づくりを進めてしまうと、完成した時に外観のバランスが崩れてしまうことがあります。
そのひとつが、窓の位置です。
よく見かけるのが、階段室の窓だけ高さが違っていたり、トイレや洗面所の小窓だけ位置がずれていたりするケースです。
室内から見ると、それぞれ必要な場所に窓が付いているだけなのですが、外から建物全体を見ると、窓の高さがバラバラで、どこか落ち着かない印象になってしまいます。
家の外観は、屋根や外壁だけで決まるものではありません。
窓の大きさ、位置、高さ、間隔によっても、建物の印象は大きく変わります。
写真の家も、リビング側のメインの窓が映る外観写真ではありませんが、窓の大きさや高さを揃えることで、外観に整然とした美しさが出ています。
特に気を付けたのは、階段室に付く窓の位置です。
階段の途中に窓を設ける場合、何も考えずに付けてしまうと、他の部屋の窓と高さがずれてしまうことがあります。
こちらの家では、階段の踊り場付近に地窓のような位置で窓を設けることで、外観側から見た時に他の窓とのレベルがそろうように計画しています。
窓は、ただ同じサイズにすれば良いというものでもありません。
大切なのは、サイズ、間隔、高さ、連続性。
そして、それぞれの窓がきちんと各部屋の窓として機能していることです。
見た目を優先しすぎて、室内で使いにくい窓になってもいけませんし、逆に室内だけを考えて、外観がアンバランスになってもいけません。
そのために、私は平面図だけでなく、立面図、矩計図、各室展開図を確認しながら窓の位置を考えます。
矩計図で考えると、床の高さ、天井の高さ、階段の高さ、窓の取付位置などが立体的に見えてきます。
平面図だけでは気づきにくい部分も、矩計図や立面図をあわせて見ることで、建物全体のバランスを確認することができます。
家の正面だけでなく、側面や裏側も同じです。
たとえ人目につきにくい面であっても、窓の位置がガタガタしていると、建物全体の印象がどこか落ち着かなくなります。
完成してから、
「窓の位置が少し変だな」
「外から見るとバランスが悪いな」
と気づいても、窓の位置は簡単には変えられません。
だからこそ、図面の段階でしっかり確認しておくことが大切です。
間取りの使いやすさと、外観の美しさ。
どちらか一方ではなく、両方を丁寧に整えていくこと。
それが、長く見ても飽きのこない、気持ちの良い家づくりにつながると思います。
【補足】
Q:窓の付け方について、アドバイスはもらえますか?
A:もちろん、アドバイスさせていただきます。各部屋の用途に合わせた、窓のデザインや大きさ、そして大切な取付位置と高さを決める考え方があります。建物の建つ敷地と周辺環境も大事な要素となりますので、ご一緒に考えさせていただきます。
失敗しない家づくり|ご主人の“ただいま”から考える間取り
家づくりで間取りを考えるとき、家事動線や収納計画はよく話題になります。
キッチンから洗面、洗濯、物干しまでの流れ。
買い物から帰ってきて、パントリーへ荷物をしまう動き。
こうした奥様目線、家事目線の動線は、とても大切です。
一方で、意外と見落とされやすいのが、
ご主人が仕事から帰ってきた後の動き方です。
毎日のことですから、この帰宅後の動線が整っているかどうかで、暮らしのしやすさはずいぶん変わってきます。
仕事から帰ってきて、玄関に入り、靴を脱ぐ。
上着を脱ぎ、カバンを置き、時計や鍵を置く。
洗面で手を洗い、着替えて、ようやくリビングでくつろぐ。
この流れが自然にできる間取りになっていると、家の中も散らかりにくくなります。
逆に、上着を掛ける場所がなかったり、カバンの置き場が決まっていなかったりすると、どうしてもリビングの椅子やソファの上に置いてしまいがちです。
これは、ご主人が片付けが苦手ということではなく、
片付く場所が、帰宅動線の中に用意されていないということでもあります。
例えば、玄関から入ってすぐのところに、シューズクロークやコート掛けがある。
その先に洗面があり、手洗いができる。
さらに近くに着替えや普段使いの収納がある。
こうした流れがあると、帰宅してからの動きがとてもスムーズになります。
特に最近は、仕事用のバッグ、作業着、趣味の道具、スポーツ用品など、ご主人専用の持ち物も意外と多いものです。
それらをどこに置くのかを、最初から考えておくことが大切です。
家族全員の収納として考えるだけでなく、
ご主人専用の小さな収納スペースをつくっておくのも良い方法です。
大きな書斎でなくても構いません。
玄関近くの一角、階段下、ファミリークロークの一部などに、カバンや上着、仕事道具を置ける場所があるだけで、暮らしはかなり整いやすくなります。
また、帰宅後すぐにリビングへ入る動線が良い場合もあれば、いったん着替えてからリビングに入れる方が良い場合もあります。
これは、ご家庭の暮らし方によって正解が変わります。
だからこそ、間取りを考えるときには、
「ただいま」から「くつろぐ」までの動きを、一度具体的に想像してみることが大切です。
家づくりでは、どうしても部屋の広さや見た目に目が行きがちですが、毎日の小さな動きがスムーズであることも、住み心地には大きく関わってきます。
帰ってきたときに、自然に片付き、自然に手を洗い、自然にくつろげる。
そんな動線がある家は、ご主人にとっても、ご家族にとっても、暮らしやすい家になると思います。
間取りは、家族全員の毎日の動きから考えることが大切です。
その中でも今回は、ご主人目線の帰宅後の動線について考えてみました。
家づくりの際には、ぜひ一度、
仕事から帰ってきた後の自分の動きも思い浮かべてみてください。
失敗しない家づくり-第5回|家事動線で暮らしは変わる
家づくりで間取りを考えるとき、リビングの広さや収納の量、デザインの雰囲気などに目が行きがちです。
もちろん、それらも大切なことですが、実際に暮らし始めてから「よかった」と感じることのひとつに、家事動線の良さがあります。
家事動線というのは、毎日の家事をするときに、家の中をどう動くかということです。
たとえば洗濯で考えると、
洗う。
干す。
取り込む。
たたむ。
しまう。
この一連の作業が、なるべく近い場所で完結できると、家事の負担はかなり軽くなります。
逆に、洗濯機は1階、物干しは2階、収納はまた別の部屋というように、家の中を何度も行き来しなければならない間取りだと、毎日のことだけに少しずつ負担になっていきます。
若い時は気にならなくても、子育て中や共働きの忙しい時期、また年齢を重ねてからは、その差が大きく感じられるものです。
キッチンまわりも同じです。
買い物から帰ってきて、玄関からキッチンやパントリーに荷物を運びやすいか。
料理をしながら洗濯や片付けにも動きやすいか。
食事の準備から後片付けまでがスムーズにできるか。
こうした小さな動きの積み重ねが、日々の暮らしやすさにつながっていきます。
家事動線が良い家というのは、単に移動距離が短い家という意味ではありません。
大切なのは、そのご家族の暮らし方に合っているかどうかです。
室内干しを中心にしたいご家庭もあれば、外干しを大切にしたいご家庭もあります。
ファミリークロークに衣類をまとめたい方もいれば、各部屋に収納したい方もあります。
キッチンからすぐに洗面やユーティリティへ行きたい方もいれば、来客時に見えにくい動線を大切にしたい方もあります。
正解は一つではありません。
だからこそ、間取りを考える前に、今の暮らしの中でどこに不便を感じているかを整理することが大切です。
「洗濯物をしまうのが面倒」
「買い物袋をキッチンまで運ぶのが大変」
「朝の身支度で家族が混み合う」
「片付けてもすぐに散らかる」
こうした日常の小さな困りごとの中に、良い間取りのヒントがあります。
家事は毎日のことです。
一回一回は小さな動きでも、それが一年、十年と続いていくと、大きな違いになります。
家事動線が整っていると、家事に追われる時間が少し減ります。
すると、気持ちにも余裕が生まれます。
その余裕が、家族とゆっくり過ごす時間になったり、自分のための時間になったりします。
家事動線を考えることは、ただ家事を楽にするためだけではありません。
毎日の暮らしを整え、家族の時間を少し豊かにするための工夫だと思います。
家づくりでは、見た目の美しさと同じくらい、日々の動きやすさも大切に考えていきたいものです。








