エアコンの先行配管も、将来の交換まで考えて
今日は、寝室に設けたエアコンの、先行配管について工夫した例をご紹介したいと思います。
こちらの寝室は、エアコンを取り付けた壁のすぐ外側が建物の正面になるため、そのまま配管を外へ出すと、室外機や配管カバーが正面の下屋に取り付き、せっかくの外観が台無しになってしまう恐れがありました。
そこで、建築工事の段階でエアコンの配管を壁の中に通す「先行配管」を行い、室外機を建物の裏側に設置できるようにしました。
(壁の右側にあるパイプスペースにエアコンの配管を差し込んでいます)
ただし、先行配管は外観をすっきり見せられる反面、将来エアコンを交換する際に、配管の接続部分へ手が届かなくなると、工事が難しくなってしまいます。
エアコンも、いつかは交換時期を迎える設備です。そこで今回は、隣接するトイレの背面にパイプスペースを設け、寝室のエアコンから右方向へ通した配管を、この場所で接続できるようにしました。
将来エアコンを交換するときには、この部分を開けて配管を繋ぎ替えて、室内機を交換できるように考えています。
しかし、トイレの壁に一般的な点検口を設けるだけでは、どうしても見た目が事務的になってしまいます。
そこで、点検口を隠すように扉付きのトイレットペーパー収納を造作しました。普段は収納として便利に使いながら、エアコン交換や配管の点検が必要になった際には、収納ボックスごと取り外して内部へアクセスできる仕組みです。
閉じている状態では、壁の仕上げと一体になったすっきりとしたデザインに見えます。開ければトイレットペーパーなどを収納でき、その奥には将来のメンテナンスに必要な配管スペースが確保されています。
家づくりでは、完成したときの美しさや使いやすさだけでなく、10年、15年と経過した後の設備交換まで考えておくことが大切です。
ただ点検口を設けるのではなく、
「普段は便利な収納として使い、必要なときには点検口になる」
という形にすることで、メンテナンス性、利便性、デザインの三つを両立させました。
目立たない小さな工夫ですが、こうした将来を見越した納まりも、長く安心して住み続けられる家づくりの一つだと考えています。
壊れない家より、壊れたときに困らない家
家づくりでは、できるだけ丈夫で、長持ちする材料や設備を選びたいと考えるものです。
もちろん、それは大切なことです。
しかし、どれだけ良い設備を選んでも、エアコンや給湯器、水栓、換気扇などは、いつか故障したり、交換が必要になったりします。
そう考えると、本当に大切なのは「壊れないようにすること」だけではありません。
壊れたときに、点検しやすく、直しやすく、交換しやすい家にしておくことも、失敗しない家づくりの一つだと思います。
(床下に入れるオリジナルの床下点検口)
(外から床下の点検ができるので、室内を汚さない/水漏れがあっても発見しやすい)
最近も、キッチンの配管を点検しようとしたところ、配管カバーが簡単に外せないように施工されていたお宅がありました。
見た目はきれいに納まっていても、修理のためにカバーを切らなければ中を確認できない状態では、後々のメンテナンスに手間も費用もかかってしまいます。
同じように、給湯器やエアコンの室外機を交換しようとしても、周囲に十分な作業スペースがなかったり、搬出経路が狭かったりすると、本来なら簡単な交換工事が大掛かりになることもあります。
新築時には、設備が故障する日のことまで想像するのは難しいものです。
それでも、設計する側は、
・点検口から必要な場所を確認できるか
・配管や機器の前を固定家具で塞いでいないか
・設備を将来取り外せるか
・交換する機器を運び出せるか
・一つの設備が止まったとき、家全体の生活が止まらないか
というところまで考えておく必要があります。
たとえば、家全体の冷暖房を一つの特殊な設備だけに頼っていると、その設備が故障した際に、家中の空調が止まってしまう可能性があります。
当社では、一般的な家庭用エアコンを1階と2階に分けて設置する方法を基本にしています。どちらか一方に不具合が起きても、もう一方を動かしながら、扇風機やシーリングファンなどを併用して、ある程度は家全体をしのぐことができます。
普段は使わない点検口や、設備まわりの少しの余白は、完成時には無駄な空間に見えるかもしれません。
しかし、その余白が、将来の修理費用を抑え、工事時間を短くし、暮らしへの影響を小さくしてくれます。
家は、完成した日が一番きれいです。
けれど、本当にその家の良し悪しが分かるのは、10年、20年と暮らし、設備の修理や交換が必要になったときかもしれません。
「壊れない家」を目指すことは大切ですが、絶対に壊れない設備はありません。
だからこそ、失敗しない家づくりでは、
壊れたときにも、困り切らない家にしておくこと。
完成したときには見えにくい部分ですが、長く安心して住み続けるためには、とても大切な設計だと考えています。
サンルーム・室内干しは「湿気の出口」まで考える
今日も、住まいの湿度についてお話ししたいと思います。
福井の住宅でよく見られるものの一つに、サンルームがあります。
福井は冬の雪だけでなく、年間を通して雨の日も多いため、天候を気にせず洗濯物を干せるサンルームは、とても便利な空間です。後からリフォームで取り付けられたお宅も多いのではないでしょうか。
しかし、便利である一方で、注意しなければならないのが湿気です。
福井の夏は気温が高いだけでなく、湿度も非常に高くなります。もともと湿気を多く含んだ空気の中に、洗濯物から出た水分がさらに加わるため、サンルームの中は想像以上に厳しい環境になります。
その湿気が十分に排出されず、サンルームや建物内部に滞留すると、結露やカビだけでなく、木材の腐朽につながる可能性もあります。
以前、訪問したお宅では、木製で造られたサンルームの柱や梁が腐り始めていました。雨漏りだけが原因ではなく、換気扇がなく、洗濯物から出る湿気が長期間こもっていたことも大きな要因だったのではないかと思います。
これは、後付けされた外壁面にも悪影響を及ぼしますので、建物の寿命にも関係してきます。
(AI生成の木製サンルームのイメージ画像です)
最近は、外付けのサンルームよりも、住宅の中に専用の室内干しスペースやランドリールームを設けることが多くなりました。
ただし、室内に設ければ安心というわけではありません。大切なのは、洗濯物から出た湿気を、どのように屋外へ排出するかまで考えておくことです。
当社で採用している第3種換気システムでは、室内干しスペースの近くに排気レジスターを設け、湿気を含んだ空気を直接屋外へ排出する計画を行います。給気口から入った空気が室内を通り、湿気の多い場所から排出されるよう、空気の流れを考えることも重要です。

(第3種換気システムによる24時間排気するレジスターが付いた物干しスペース)
一方、第1種換気システムの中でも全熱交換式の場合は、熱だけでなく湿気の一部もリターンする仕組みです。そのため、室内干しによる水分負荷が大きい場所では、換気システムだけに頼らず、個別の換気扇や除湿機、エアコンの除湿運転などを組み合わせる必要があります。
浴室やトイレには個別換気扇が設けられていても、室内干しスペースには排気設備がないというケースもあります。換気設備の種類だけで判断するのではなく、実際に湿気が発生する場所に、きちんと「出口」が用意されているかを確認しなければなりません。
サンルームや室内干しスペースは、福井の暮らしにとても役立つものです。
だからこそ、ただ干す場所を設けるだけでなく、湿気を排出する仕組みまで含めて計画することが大切です。毎日の使い勝手だけでなく、住まいを長持ちさせるためにも、十分な換気と除湿対策を考えていただきたいと思います。







