「FPの家」のFP工法は、他の高気密高断熱工法と何が違うのか
火曜日は「性能・断熱・気密」について書かせていただきます。
今日は、当社が長年採用している「FPの家」のFP工法について、他の高気密高断熱工法と何が違うのかを、少し整理してお話ししたいと思います。
高気密高断熱住宅という言葉は、今では多くの住宅会社が使うようになりました。
グラスウールを丁寧に施工する工法もありますし、ロックウール、セルローズファイバー、現場発泡ウレタン、付加断熱など、いろいろな断熱方法があります。
それぞれに特徴がありますが、「FPの家」のFP工法が他と明らかに違うのは、断熱材そのものの構成と施工方法が根本的に違うという点です。
工場でつくられる「FPウレタン断熱パネル」
FP工法の大きな特徴は、木枠と硬質ウレタンフォームを工場で一体成型した「FPウレタン断熱パネル」を使用することです。
現場で柱の間に断熱材を詰めるのではなく、専用工場でつくられた高精度な断熱パネルを、現場で柱と柱の間にはめ込んで施工します。
この違いは、とても大きいものです。
一般的な断熱工法では、断熱材の施工精度が現場の状況や職人さんの技量に左右されやすい面があります。
断熱材の入れ方、隙間の処理、防湿フィルムの貼り方、テープの圧着、配線まわりの処理など、現場で気を付けなければいけない部分が非常に多くなります。
一方でFPウレタン断熱パネルは、工場で安定した品質のもとにつくられます。
木枠と硬質ウレタンが一体になったパネルとして現場に届きますので、断熱材の厚みや密度、納まりの精度が安定しやすいのが特徴です。
当社がFPの家に長年取り組んでいる理由も、ここにあります。
現場で頑張って性能を出すというより、最初から性能を安定して出しやすい仕組みになっているということです。
気密性能が安定しやすい理由
高気密高断熱住宅で大切なのは、断熱性能だけではありません。
どれだけ良い断熱材を使っても、隙間が多ければ本来の性能は発揮できません。
暖かい空気や冷たい空気が逃げるだけでなく、壁の中に湿気を含んだ空気が入り込むことで、内部結露の原因にもなります。
FP工法では、FPウレタン断熱パネルを柱間にはめ込み、パネルまわりを気密処理することで、建物全体の気密を確保していきます。
そして「FPの家」では、全棟で完成気密測定を行います。さらに、ライフ・コア デザインオフィスでは、中間にも気密測定を行って、気密工事に問題が無いかを調べてから仕上げ工事に入ります。
口で「高気密です」と言うのではなく、実際に測定して、数値で確認することが大切です。
当社でも、気密測定は非常に重要な工程として考えています。
高気密高断熱住宅は、設計上の性能だけでは判断できません。
実際に現場でその性能が出ているかどうかを、きちんと確認する必要があります。
経年変化に強いことも大きな特徴
FPウレタン断熱パネルに使われる硬質ウレタンフォームは、現場発泡ウレタンと違って、「独立気泡構造」になっています。
細かい気泡が一つ一つ独立しているため、水分や湿気を通しにくく、断熱性能の低下が起きにくいという特徴があります。
断熱材は、建てた時だけ性能が良ければいいというものではありません。
家は何十年も住み続けるものです。
その間に断熱材が湿気を含んでしまったり、ずり落ちたり、隙間ができたりすると、最初の性能を維持できなくなります。
FPウレタン断熱パネルは、木枠と一体成型された硬質なパネルですので、壁の中で沈み込んだり、形が崩れたりしにくい構造です。
長く性能を保ちやすいという点も、FP工法の大きな安心材料だと思います。
防湿フィルムに頼らないことの意味
ここからが、私が特に大切だと考えている部分です。
一般的なグラスウールやロックウール、セルローズファイバーなどの断熱工法では、室内側に防湿フィルムを施工することが基本になります。(現場発泡ウレタンの施工においても採用されることがあります。)
これは、室内の湿気を壁の中に入れないための大切な工程です。
理屈としては正しいですし、きちんと施工されれば有効な方法です。
ただし、問題は現場で本当に完璧に施工し続けられるかどうかです。
防湿フィルムは、壁の中で連続していなければ意味がありません。
ところが実際の現場では、コンセント、スイッチ、配線、配管、下地材、ビス、釘など、防湿フィルムを貫通したり、切り欠いたりする部分が数多く出てきます。
特にコンセントまわりは、防湿フィルム工法の弱点になりやすい部分です。
電気配線を通すためにフィルムに穴が開きます。
その穴を気密コンセントボックスや気密テープで丁寧に処理する必要がありますが、四隅まで確実に圧着されているか、テープが浮いていないか、後から配線工事で傷つけられていないかなど、確認すべきことが非常に多くなります。
しかも、壁を閉じてしまえば、その状態は見えなくなります。
防湿フィルムの施工不良は、後から直しにくい
防湿フィルム工法の難しさは、施工中だけではありません。
問題が起きた時に、後から確認しにくく、直しにくいという点があります。
たとえば、床際が冷える、壁の中で結露が起きる、室内に温度ムラが出る、気密測定の数値が思ったほど良くない。
こうしたことが起きたとしても、壁の中の防湿フィルムがどこで切れているのか、どこでテープが浮いているのかを完成後に確認するのは簡単ではありません。
原因を特定しようとすると、壁をめくる必要が出る場合もあります。
これはお客様にとっても、施工者にとっても大きな負担になります。
もちろん、防湿フィルムを使う工法が悪いということではありません。
丁寧に施工すれば、良い性能を出すことはできます。
ただし、その性能を出すためには、非常に高い施工管理と職人さんの理解、そして現場全体の徹底が必要になります。
私はここに、大きな難しさがあると考えています。
FP工法には、その問題そのものが少ない
FP工法の場合、断熱材である硬質ウレタンフォーム自体が湿気を通しにくい独立気泡構造になっています。
そのため、一般的な繊維系断熱材のように、室内側全面に防湿フィルムを貼って湿気を止めるという考え方とは根本的に違います。
もちろん、建物全体としての気密処理は必要です。
しかし、防湿フィルムを壁一面に張り巡らせ、それをコンセントや配線まわりで一つ一つ破らないように処理していくという施工上の不安が少ないのです。
これは、現場に携わる者として非常に大きなメリットだと感じています。
高性能住宅は、カタログ上の数値だけではなく、現場でその性能を確実に出せるかどうかが大事です。
そして、完成後もその性能が長く維持されることが大切です。
FP工法は、工場で一体成型されたパネルを使うことで、現場施工のばらつきを抑え、防湿フィルムに頼らない安定した断熱・気密の仕組みをつくっている工法だと思います。
まとめ
「FPの家」は、単に高性能な断熱材を使っている家ではありません。
木枠と硬質ウレタンフォームを工場で一体成型したFPウレタン断熱パネルを使い、現場で高精度に組み込んでいく工法です。
そのため、断熱性能、気密性能、経年変化への強さ、施工精度の安定性という点で、他の高気密高断熱工法とは大きな違いがあります。
そして私が特に重要だと思うのは、防湿フィルムに頼らなくてもよいという点です。
防湿フィルム工法は、理論上は優れた方法ですが、現場ではコンセントや配線まわり、テープ処理、後工事による穴あきなど、多くの注意点があります。
一方でFP工法は、そうした防湿フィルム特有の施工リスクが少なく、安定した性能を出しやすい仕組みになっています。
家は、完成した時だけ良ければいいものではありません。
10年後、20年後、30年後も、壁の中で安心できること。
そこまで考えた時に、FP工法には大きな価値があると考えています。







